127-4 メンテ魂~その後、 お住まいはいかがですか~第 30 回 リフォーム編:argo egota(アルゴエゴタ)

2013年3月22日 at 10:00 AM

今月は、またリフォーム物件のご紹介です。
Y 様は中野区江古田にある築 38 年の 3 階建てのアパートを、父上から引き継ぎました。当初は、建て替えも検討されましたが、建物が個性的なデザインだったため、既存のプランを活かした、デザイン性のある建物にリフォームすることにしました。企画・管理は、この地域で実績の多いタカギプランニングオフィスです。どんな建物ができあがったでしょうか。施主の Y 様と設計の谷尻誠氏に、お話をうかがいました。

 

-躯体のプランはほとんど変更ないそうですね。
Y 様:内装をフルリフォームしたという感じです。古い建物だったのですが、屋上に温室があったり、3階にルーフバルコニーがあったりと、特徴のあるデザインだったもので、それを活かしてみるのも面白いかなと思ったんです。もともと僕は建築が好きで、借り手の立場になってものを作ってみたかったんですね。既存のものを活かすデザインが気に入っていた谷尻誠さんに設計をお願いしました。

-既存のサッシをそのまま使い、モルタルの床や鉄骨をあらわしにして建物本来の姿を強調しながら、新しい素材をあちこちに取り入れられています。
Y 様:周辺はアパートが多く、リーズナブルなコストで差別化を図っていただければと思いました。

設計の谷尻誠氏にも、コメントをいただきました。
「このプロジェクトは、江古田にある古い鉄骨造3階建ての賃貸アパートのリノベーションです。今までは、1階、2階を賃貸として、3階はオーナー住居として利用されていました。各階へは専用のアプローチ、また各階違った間取りのある計画となっており、リノベーションをきっかけとして、建物全体を賃貸することが当初から決まっていました。
かなりの老朽化が進んでおり、また性能も決して高い建物ではなかったので、私たちは、リノベーションという行為が、性能を確保していきながら、空間としての魅力が生まれる計画を提案させていただきました。具体的には、1階は布基礎でできていたため、床下からの湿気を防ぐために床を全て撤去して土間のある空間に、3部屋が並んでいる2階は、中心の部屋以外の天井を抜いて隣家との遮音工事を、3階は防水工事に伴い外断熱を、また当初から屋上に設置されていた温室を利用して、とても大きなバスルームを計画しました。
各部屋に共通して言えることは、大きな間取りの変更をすることなく、減築していくことで空間の魅力と性能を確保していったということです。減築といっても、単純に減らすのではなく、どう減らしていくかということを我々は慎重に考え、残し方を設計していきました。出来上がった空間は、数十年という時間を経過した部分が過去の記憶を継承しながらも、新しさのある、この場でしか成立しない空間が出来上がりました。
これからの時代、リノベーションという行為が、より社会で必要となっていく中で、私たちは従来の解体という作業の中に、新しい設計の方法を見つけ出し、これからのリノベーションにおける設計の拡がりをここでは求めました。時間を経過した空間と、新しさが共存する空間は、なんだかビンテージのジーンズと、新しいシャツの着こなしのような、ほどよく力の抜けた居心地の良い空間になったのではないかと思います」
それぞれが個性的な部屋に生まれ変わり、入居者の方の新しい暮らしを演出していくことでしょう。

所在地:中野区
構造: 鉄骨造
規模:地上3階 + 塔屋
用途:集合住宅
設計:谷尻誠/サポーズデザインオフィス
改修場所:内装、外部手すり等塗装工事、キッチン、浴室等設備工事
完成:2010 年8 月
施工担当:若井、松前