218-3 矢野茂/株式会社ランドビジネス 建築設計部 部長

2018年6月10日 at 11:39 PM

時代を超える建物を

今月は、株式会社ランドビジネスの建築設計部部長、矢野茂様にお話を伺いました。弊社とは20数年前、前身会社の頃にお仕事をさせていただいており、今回もご用命いただく事ができました。
―渋谷の事務所のときはまだ数名のスタッフでいらしたそうですが、現在は霞が関に事務所を移転され、2007年には東証市場一部上場も果たされています。27年前に、弊社社長森村、技術部長夏井が、新小岩の建物を担当させていただいたそうですね。

矢野:創業当初より我々は50年、100年持つ建物を建てていこうという理念がありました。ヨーロッパでは、古い建物を活かし、新しい建物をつくるにしても、周辺との調和を考え、街のインフラも整えていくというスタイルです。一方、日本では相変わらず、スクラップアンドビルドの風潮がなくならない。それではいけないとヨーロッパの重厚感と都市の近代性を合わせた、時代を超えた建物をつくろうとスタートしました。森村さんにお願いした新小岩の建物は26年経ちますが、佇まいも風化せず、ますます重きのある風格を見せています。今後もそういう建物を一緒につくっていこう、という話になりました。

ーこれまでいくつかの特徴あるシリーズで、事業展開されていますね。

矢野:まず、オーナーの土地の運用をお手伝いする「ラナイ」シリーズがあります。都営新宿線の「一之江」駅前では広場を囲み、7棟建てましたね。時計台もつくり、店舗も含め、街と駅前広場を区と一緒になって立体的につくっていきました。江戸川区の街並み景観賞を2回もいただき、13年前に一段落しましたが、今でも管理しており、一之江の街をオーナー、住まわれている人と共につくり続けているという自負があります。
その後、今度は自社物件のオフィスを建てるようになりました。それが「プラザ」シリーズです。「日本橋大伝馬町プラザビル」など、優良賃貸オフィスとして、外部空間、共用空間をレジデンスと同じように、しっかりつくりこんでいます。売却してしまいましたが、今、パナソニックのショールームが入っている「横浜プラザビル」なども、外部に池を設けたり、通路、エントランスも本物志向の、普通のオフィスにはない、豊かな空間になっています。
また、既存のオフィスを買って、リニューアルし保有する事業も展開しています。近年、建設費の高騰などから、オフィスは新規物件の建設が事業的に厳しくなっています。数年前からは、既存のレジデンス物件を20数棟購入し、リニューアルしました。それが、「ソサイエティ」シリーズです。オフィス、レジデンス共に、古くても良い部分は生かし、新しいものを付けることにより、「新築以上」に時代を超えて、奥行きのある街並みに貢献する建物をつくっています。
―時代の変化に対してスピーディな経営戦略をとられているのですね。建築計画などは、どのように進められているのですか。
矢野:それは、弊社で計画しています。会社自体は、現在も20人体制で決して多くはないのですが、外部の優秀なスタッフに協力いただいています。弊社の目指すレベルの建物は、普通の設計事務所では対応が難しい。事業として成り立たせなくてはならないので、その地域にどういう物件が適しているか、どんな間取りがいいかといったマーケティングはもちろん、デザインとして魅力のあるものにつくり上げなければ、50年、100年残る建物になりません。そこまで理解してくれる事務所はなかなかないですね。
そのため、実際は我々がイニシアティブを取りながら進めています。社内には不動産の経験が豊富で市場を読める人間、ゼネコンの出身者など各方面の精鋭がいて、いろんな情報と知恵を出し合いながらいいものをつくり続けている。その辺はうちでなければできないというものを持っていると思います。
私自身、ゼネコンの設計部、アトリエ系事務所のスタッフを経験して、今、ここにいます。ゼネコンの限界、アトリエ系事務所の限界もわかっているつもりです。例えば、先ほど物件概要でも述べた、建物の内装材としての石も、常に石屋さんから良い石の入荷を連絡してもらうルートがあるし、イタリアの産地にも出向きます。現地での仕事を通して、イタリアでは伝統・文化に培われた豊かな感性が日常生活の中に活かされているのが、よくわかります。
本物志向で建物をつくっていく、それが社会のインフラとして長期にわたっていいものをつくり続けることに繋がるという姿勢に変わりはありません。
―本日はありがとうございました。
株式会社ランドビジネス      LAND BUISINESS CO.,LTD.
本社:千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング30階
代表取締役会長:亀井 正通
代表取締役社長:井出 豊
設立:1985年2月13日
1985年2月:総合不動産業を目的として東京都杉並区に設立
1985年8月:渋谷区に本社移転
1994年1月:港区に本社を移転
1996年6月:千代田区に本社を移転
2005年7月:ジャスダック証券取引所へ上場
2006年9月:東京証券取引所 市場二部へ上場2007年9月:東京証券取引所 市場一部へ上場