236-3 秋田忠俊/秋田建築設計室+秋田亮平/秋田亮平建築設計事務所

2019年11月5日 at 1:59 PM

 

今月は、「竹本容器株式会社 TOGETHER LAB」の設計を担当された、秋田建築設計室の秋田忠俊氏と独立された息子様の秋田亮平氏にご登壇いただきました。

―秋田様は地元の台東区でお仕事を続けられてきたとのことですが、今回の計画もそのようなご縁からでしょうか。

忠俊:竹本容器さんの前社長が私の小学校の同級生で、千葉で木造の別荘を設計させていただいた経緯もあり、10年ほど前から2度ほど企画設計させていただく機会がありました。しかし、私の発想もだいぶ類型化し保守的になってきたこともあり、息子の力を借りるいい機会かと思いました。竹本さんの社長も娘さんに交代されていますしね。

―建て主様から建物についての具体的なコンセプトの提示などございましたか。

亮平:開発を行う部署が入るという条件やラボ機能についてのお話がありましたが、その中でデザインは自由にやらせていただきました。ご要望もありましたが、この建物はRC造がいいと感じて、施工会社としてRC造の得意な会社の中から、「YON-KAビル」を担当された構造事務所の方に紹介してもらい辰さんにお願いしました。

忠俊:打ち放しのときには、いつも施工者をどこにするか悩みますが、辰さん、難しいのが好きだと聞いたので。実際、以前協力させていただいたDIK設計室での仕事の時にも、打ち放しでは悩みましたから。

―DIK設計室は藝大を退官された片山先生の事務所ということですが。

忠俊:私自身は法政で勉強しましたが、日本は工学系に建築が偏り過ぎているように思います。バックアップは構造の先生の方でしてくれるので、むしろ、素材に対する感性とか文化・歴史に対する理解、興味など、美術、文系にわたる総合力が必要とされますので、息子には工学系ではない藝大を勧めたんです。学校も近いでしょう。

―上野ですね。近くても簡単には入れませんが。

亮平:入るのには、大分苦労しました。
中学までは地元でずっと来ていますし、この事務所は小学校の友人のもつ倉庫を間借りさせてもらっています。
大学で師事した金田充弘先生は構造計画の先生ですが、藝大の構造ということで、素材やデジタルテクノロジーを切り口に、制作を通して研究を行っています。僕が学生の頃から取り組んでいるのが、「熱可塑性不織布」です。布が熱で収縮するエネルギーを利用し、平面から立体への展開を考えています。
最初はこういう円や基本の形のものが(写真下左参照)、70度以上のお湯をかけると収縮しながら立ち上がります(写真下右)。かたちの原理はシャボン玉の膜と一緒です。究極的には、インスタント・アーキテクチャーのようなものをやりたいと考えています。

―なんか、SF映画みたいですね。

亮平:はじめは布を縫って、木のフレームにホッチキスで止めるシンプルなものでスタートしていましたが、だんだん、アクリルを使ったり、3Dプリンターでやりだしたりして、パターンや断面を設計するようになりました。大学でこのような研究をしながら、建築の設計を行うという生活ですが、近々きちんと発表したいと考えています。

忠俊:ついていけない。でも建築というのは、日常生活の延長ですから、私がずっと住宅をやりたいのも結局はそこです。誰でも住宅は必要、でもこうでなくてはならないということはない。「自由」であるべきなんです。そうは言っても、私はその土地に、その環境にあったものが好ましいと思います。
千葉の別荘を作るときに、その土地の風土に根付いた材を使いたい、と地元の杉について関係者に尋ねたら、もう山が荒れてしまって無理なんですよ、という話でした。南房総では伝統的に赤瓦があったらしいのですが、それももうないそうです。先日の台風19号の被害も、山の手入れができていないことが大きい要因だと言われています。
ここにきて、過去との大きな断層が出来ていることが現在の状況に影響しているとつくづく感じています。川の名前を見てもわかりますよね、鬼怒川、荒川…。先人たちの教えを謙虚に受け取らなくては。土地をどう読むか、作ることはできないのですから、ソフトをもう少し考えなくてはならないですね。

―本日はありがとうございました。

秋田 亮平 (あきた りょうへい)1982年 東京都台東区生まれ
2010年 東京藝術大学大学院美術研究科 修了
S.O.Y.建築環境研究所 勤務
2016年 秋田亮平建築設計事務所 開設
2017年 東京藝術大学 教育研究助手

秋田 忠俊  (あきた ただとし)1950年 東京都台東区生まれ
1978年 法政大学工学部建築学科卒業
㈱コア都市設計事務所勤務
1983年 秋田建築設計室 開設
1993年 DIK設計室と協働 開始
2011年   DIK設計室との協働 終了