149-3 松山 剛己/㈱マークスアンドウェブ代表取締役社長

2013年4月12日 at 3:05 PM

引き算から足し算へのモノづくりへ 

「自分らしく生活を楽しみたいお客様の立場になって考えます」

今月は、現在弊社で本社社屋新築工事を施工中の、「株式会社マークスアンドウェブ」の代表取締役社長、松山剛己氏にご登場いただきます。

-2007年、創業100周年を迎えた松山油脂㈱の5代目社長、松山剛己氏が、2000年新たに作られたブランド「MARKS&WEB」はボタニカルスキンケア商品を中心としている。ハーブなどの自然の草花から抽出されたエッセンス(精油)をブレンドして、その作用を生かしたもので、安全性が高く、環境に負荷を与えない、もともとヨーロッパの人々の知恵が生み出したもの。さまざまな香りや作用を目的、好みに応じてブレンドした商品は、品質のよさ、シンプルなデザインで、毎日惜しみなく使える価格とあって、自分らしさにこだわる女性に人気が高まっている。渋谷に新しく出来た「渋谷ヒカリエSinQsショップ」を始め、北海道から九州まで、現在66の直営店を数える。

-最初に「MARKS&WEB」を立ち上げられたきっかけを教えてください。
松山:大学卒業後、広告代理店、そして商社に勤め、いずれも新規事業開発などを手がけてきましたが、1994年家業に戻りました。大手化粧品メーカーの下請けとしてモノづくりを続けてきたメーカーでしたが、下請けから自社ブランドも持つ体制に移行しようという時期で、「安全性」「環境性」「有用性」を考え、『無添加』というキーワードでせっけんづくりを進めていったのです。
しかし「無添加=余計なものを入れない」商品開発としては窮屈な状態が1995年から5年間続き、「あれも入れちゃいけない」「これも入れちゃいけない」と、モノづくりをする社員の意欲がだんだん落ちてきてしまったのですね。そこで彼らの意向も踏まえながら、「有用なものなら全部入れていこう。ただし天然植物由来のものに限定していこう」と引き算のモノづくりから足し算のモノづくりに転換したのが、この「MARKS & WEB」です。松山油脂では4代も5代も続いているから、流通経路なども踏まえ、どうしても自由にモノづくりできない部分もあります。新会社の「MARKS&WEB」では,
直営店方式を採用し、新しい販売展開を行っています。

-社名の由来はどういう意味ですか?
松山:MARKSとは「お気に入り」、WEBは「蜘蛛の巣」という英語ですが、「自分らしい生活を楽しみたい」という方のために、毎日使える良質な商品を提案し、出会ったお客様がその良さをまた別のご友人に勧めてくださる、というように、自然派生的に商品価値が広まっていくという願いを込めました。ですから、店頭においてもオンラインにおいても「これがおススメ」というプッシュセールスは行わず、お客様がじっくり選んでくださるよう、どちらかというと受身の販売方法を行っています。いい商品を作っているというこだわりは、ともすれば自分たちの趣味を強調することになりがちですが、ただ、雑談をして帰るお客様もいらっしゃるくらい、居心地のいい空間を目指しています。

-昨年の東日本大震災では、すぐに現地へ支援物資をお届けになったと伺っています。
松山:昨年3月中旬から1ヶ月の売り上げの3%、約735万円を社員のつながりのある被災された地域の、たとえば以前勤めていた会社、大学など接点のある組織に届けました。社員の99%は女性。当時は「こんな時期に店に立って販売行為をしていていいのだろうか」という彼女たちの気持ちがあって、自分たちの仕事が被災地の人に少しでも助けになるようにと支援を決め、それで社員はまた前向きな気持ちになれたのです。
-すばらしいスタッフ、またそんな社員の気持ちを大切にする、松山社長の経営方針がそこには反映されていますね。
松山:商品が好きで、会社が好きで、お客様のために何かして差し上げたいという気持ちが出来ていないと、1時間いくらという経済観念だけではお客様と本当に向き合えません。スタッフの心の余裕が無ければ、よい提案もできませんから。彼女たちが笑顔で自然体で仕事ができるようにすることが、我々本社の人間、経営者の務めですね。

-さて今回施工する本社の建物に対する社長の思いはどんなものですか?
松山:私は自然と建物が一体となった空間が好きなんです。自宅も木で覆われていますし、四国の亀老山展望台(設計:隈研吾)みたいに自然に隠れているくらいのものがいい。構造物が主張しない、でも光や風、シンボルツリーが見えるようなものです。「MARKS&WEB」という会社に対してお客様が持っているイメージを大事にして、スタッフもがっかりしない建物を建てていただきたい、と思っています。
-植栽も重要な要素になってきますね。洞爺湖サミットでクリーンエネルギー導入先進企業として紹介された、早くからエコロジーに関心のある企業でいらっしゃいましたね。本日は、どうもありがとうございました。

慶應義塾大学経済学部卒業
1986年  株式会社博報堂入社
1990年  三菱商事株式会社入社
1994年  松山油脂合名会社(現松山油脂株式会社)入社
2000年  同社 代表取締役社長に就任
2000年  株式会社マークスアンドウェブ設立 代表取締役社長に就任
株式会社マークスアンドウェブ http://www.marksandweb.com

 

シンプルなデザインの容器。無香料タイプも用意されている。天然の精油でも妊婦や子供、そのときの体調により強い場合もあり、テスターでお客様自身が確認して選べるようになっている。ガラス容器は回収し、再利用している

 

研修中の新入社員も加わり、西麻布のヘッドオフィスにて記念撮影。スタッフ一人ひとりへのやさしい心配りが言葉の端々に感じられる松山社長