144-3 吉原 毅/城南信用金庫 理事長

2013年4月7日 at 12:00 PM

吉原毅 城南信用金庫理事長     撮影:アック東京

「脱原発」に企業として取り組む

今月は、昨年 12 月に『原発に頼らない安心できる社会』実現のため、東京電力から原発を使わない電力会社への契約切り替えを発表、この1月より実施されている、城南信用金庫の吉原毅理事長にご登場いただきます。弊社は渋谷支店のあるビルの 5 階に入居しており、地域に密着した活動を日頃拝見させていただいております。
―昨年の福島第一原発の事故後、城南信用金庫様では、4月1日にいち早く「脱原発宣言」をインターネット上で発信し、「youtube」でも話題を呼びました。(7月 23 日付けでダウンロード数 80000 回)

吉原:東北地方の壊滅的な被害を眼にして、すぐに義援金の受付や被災地への人的支援を決めたのですが、そんなときに福島第一原発の爆発事故が起きました。常識的に考えれば、「原発を止めて総点検し、安全確保、出来れば動かさない」と誰もが思ったはずでした。ところが、政府もマスコミも「原発は止められない」「想定外の出来事」と、なし崩し的に事を進めていく。このことに非常に違和感を覚えたのです。首都圏にも計画停電などの被害が及んでいる中、企業として何かできることはないかと思い、「原発は総発電量の30%を占める」という数字に着目して、まず徹底した「節電」に全店で取り組みました。
―東北地方への義援金は3億円にのぼり、電気使用量も大幅に削減されたそうですね。(平成23年4月~9月期、前年度より30.3%減)
吉原:自宅でもやってみましたが、「3割減」って結構出来るものですね。しかし、「脱原発宣言」は、独立系 TV会社で活動を取り上げてもらった以外、大手のテレビ・新聞は取材には来ないし、記者が来たのに記事にならなかったりしたのです。これはいわゆる「原発マネー」が働いているのだ、着実に取り組まないと大変なことになる、と感じました。
そこで 5 月には、節電支援商品として「節電プレミアムローン」「節電プレミアム預金」として金利面で優遇する商品を開発、また「しんちゃん福袋プレゼント」という、「3 割節電すると貯金箱と福袋をプレゼントする」キャンペーンを行いました。
さらに昨年 12 月 2 日には、東京電力から最大手の PPS(特定規模電気事業者)「株式会社エネット」に契約を切り替えると記者会見を行いました。
―東京電力が、電気料金値上げ(企業のみ、17%値上げ)を発表していたこともあり、1 月の PPS への切り替えは、多くのメディアで取り上げられました。
吉原:予想以上にこのメリットを多くの方が知らなかったですね。東京電力以外にも電力会社があるのだということをタイムリーに知らしめることになり、うちへの問い合わせも増えました。PPS に対する関心の高まりを感じています。加えて、PPS と契約することによって「埋蔵電力を発掘する」ことにつながるということもわかっていただきたいのです。例えば、日本製紙という会社が 170 万 KW の発電所(原発 1.5 基分の発電量)をこれまで止めていたのですが、PPS に参入するそうです。ほかにも持っているところはあり、これまで活用されていなかったものを再稼動させる方向に進むことになります。PPSはまだ全体の発電量の3%。発掘する作業が大事で、その過程でコストもあぶりだされてくる。例えばガスは化石燃料だから、東京電力が「原発がなければ値上げしないと燃料費で大変」というけれども、化石燃料オンリーの PPS の電力がそれより安いわけですから、その論理は崩れてしまいます。単純に燃料費で比較することができない原発のコスト管理の特殊性があきらかになります。
―現在、6000v の高圧受電ユーザー、つまり企業や役所、学校などは PPSにすでに変更しているところもあり、契約変更可能ですが、残念ながら一般家庭は、配電というインフラの関係でまだ変更できません。

 

吉原:次は、一般家庭の不満が高まってくると思います。発送電分離の論議が高まり、コスト意識の高い層の関心を呼ぶでしょう。我々が始めれば、それが企業として社会を変革するきっかけとなります。

私は、「企業経営」と「社会貢献」は両立しうると思っています。企業は金儲けの手段ではなく、公益、つまり社会貢献を大事にしていかなくては存在価値がありません。「社会貢献」とは、困っている人がいたら助ける、地球が抱えている問題に関心を持って取り組むということです。その社会的なメッセージを発することこそ、企業広報の本来のあり方なのです。
今年の 11 月 1 日に、東京ドームで「ビジネスフェア」を行う予定です。東北や都内の信用金庫ほか多くの方たちと協力して、環境問題も含めて「日本を明るく元気にする仕事」「円高を突破できるような新しいビジネス」を作り出す機会になればと思います。

―本日はどうもありがとうございました。

平成 23 年 10 月2日、「がんばろう東北の子供たち!夢の野球アカデミー in 東京ドーム」を開催。宮古市、気仙沼市、石巻市から少年野球チームを招いて、城南地区の子供たちとの「親善試合」「野球教室」を行った。

「埋蔵電力の掘り起こしにつながるよう、 PPS への契約に切り替えました」

 

五反田の本店にて。この建物の屋上にもソーラーパネルが設置されている。原発廃棄物の再処理工場、化石燃料の残存量の見直し、CO2排出量の真実など、次々と問題を語る理事長の話は尽きない。

1954 年  東京都生まれ
1977 年  慶應義塾大学経済学部卒業
1977 年  城南信用金庫入職
2010 年  城南信用金庫理事長就任