120-3 佐谷恭/㈱旅と平和代表取締役社長 

2013年3月15日 at 12:00 PM

経堂のパクチーハウスにて

パクチーは旅と平和の象徴です

今月は、世田谷区経堂に世界初のパクチー専門料理店「パクチーハウス東京 paxi house tokyo」を開いた、佐谷恭氏をお迎えしました。パクチーは、世界 150 カ国以上で使われているハーブで、味と香りが強く、好き嫌いがはっきり分かれることで有名です。なぜパクチーなのか。学生時代から 15 年間、世界 50 カ国を旅したという佐谷氏のバックグラウンドも含めて、お話を伺いました。

 

―小さい頃から、国際交流に関心があったのですか?
佐谷:母がスーパーフレンドリーな人で、勤務先の大学の留学生センターの学生をつれてきては、ホームステイさせているという感じでしたね。中学に入って英語の勉強をするようになった僕は、あるとき韓国人留学生を迎えに行くよう言われました。ところが彼は日本語も英語もまったくしゃべれない。でも 1 週間の滞在中、僕が連れてきたんだし、向こうも僕を頼る。何とかしなきゃと、一生懸命にコミュニケーションをとりました。それが「異文化交流は面白い」と思ったきっかけですね。
―京都大学に入られてからは、積極的に旅に出るようになったそうですね。
佐谷:京都大学は世界一卒業が簡単な大学じゃないですか(笑)。1 年のうち 2,3 ヶ月は旅の時間に当てていたのですが、残りの 9-10 ヶ月が「旅」以外の時間というのがもったいなくて、何とか日常でも旅の感覚を味わいたいと、” BEEMAN” という一人旅サークルを作りました。旅先で出会った人たちと、国籍・世代・立場の違いを超えた交流の場をネット上でも作り出したのです。旅という非日常は、誰をも枠から飛び出させる効果があるんですよ。
―卒業後は、いったん富士通で普通に会社員の経験もされました。
佐谷:元々社会人になる感覚が薄い学生でしたが、大企業なので社長になるには 30 年かかるし、成果主義といっても指導的な立場になるのも 10 年かかる。残業王国だけど、枠から出ない人も多いし、旅で自由な働き方をする人を見ていた僕は、漫然と仕事するのは嫌でした。関西地域の採用責任者になって、好き放題やらせてもらいましたが、25 歳のときに辞めました。「自分で会社を作るということも可能だ」ということに気が付いたからです。ちょうど、学生時代の友人が会社を立ち上げるというので「2,3ヶ月付き合おうか」と入ったのが、「リサイクル・ワン」。環境問題の静脈部分に光を当てるといったらいいでしょうか。企業向けの環境コンサルティングを行う ASP サービスの先駆けです。1 年半在籍して会社立ち上げに関わりました。今 140 人の会社になっています。
その後これまで自分がやってきた「旅」を生かす方向で仕事をしようと考え、それまでの常識なら、物書きか旅行会社に入るしかないところですが、もう一つ旅人としてのレベルをアップさせたかったので、ブラッドフォード大学大学院で、旅と平和について論文を書きました。それが 28-29 歳のときです。国連など海外機関で働く選択肢もあったのですが、僕は、世界レベルでものすごく恵まれている環境で、異文化交流とか政治や平和をまったく考えない、年収何百万円もあるのに「ワーキングプアだ」などという人々がいる国で出来ることがあると思い、帰国しました。
―なぜパクチーなんですか。
佐谷:初めて意識したのは、14,5 年前。カンボジア・プノンペンのある鍋料理の店で強烈な味と匂いの草が山盛りにおいてありました。どこに行っても何でも食べてやろうという僕は、食べつくし、その味を脳裏に焼きつけました。その後いろいろな場所で出会ったこの野菜を、他の友人たちに食べさせてみたいと誘ったところ、拒絶と絶賛の二極化。「日本パクチー狂会」を作るとともに、この強力なキーワードを使って人集めをしたいと考えるようになったのです。8 月 9 日をパクチーの日に制定、オリジナル料理を開発する会を開いたり、恒例のタイフェスティバルで勝手にパクチー賞を作ったり、狂会員のアイディアもどんどん膨らみ、加盟者は 2000人以上、活動は広がっていきました。
2007 年 3 月に長男が誕生し、自分の新たなビジネスを立ち上げたいと、旅のかわりにパクチーというキーワードを得た僕は、念願の店をオープンすることにしたのです。
タイ語のパクチーのスペルをあえて「paxi」にしたのは、僕の造語。” pax” はラテン語で「平和」、” i” は人間の頭と胴体、つまり「旅人」を表しています。旅人が集うことによって、平和な(楽しく、心落ち着ける)状態になるーパクチーは旅と平和の象徴なんです。

 

「パクチーを媒介に、いろいろな人々が結びついてくれれば、パーティ好きの僕としては最高です」

1975 年 神奈川県生まれ
京都大学総合人間科学部卒業、富士通、リサイクルワンを経て、イギリス・ブラッドフォード大学大学院で平和学修了。学生時代から多くの国を旅し、様々なものを食する中、パクチーの魅力に取り憑かれる。2005 年「日本パクチー狂会」を旗揚げ、2007 年 11 月「旅と平和」をキーワードに、世界初のパクチー専門レストランをオープン。連日盛況で、内外のマスコミから取り上げられる。かながわビジネスコンテストで日本起業家協会(JEA) 賞受賞。
2007 年より、「株式会社旅と平和」代表
日本パクチー狂会 http://paxi.jp/、パクチーハウス東京 http://paxihouse.com/、
株式会社旅と平和 http://pieceofpeace.org/ ほか

 

世界のパクチー料理からオリジナル創作料理レシピ、栽培農家の話や育て方など
パクチーについての情報がいっぱいの著書『ぱくぱく!パクチー』(\1,500 情報センター出版局)

パクチーの被り物をかぶり、茶目っ気たっぷりの佐谷氏。後ろは、経堂で配布されているティッシュでアーティストが作った照明。ビール好きの佐谷氏らしく世界中のビールが、多数用意されていて、飲み比べも楽しい。ブログ、mixi、そしてTwitter とメディアの積極的な活用は、交流型レストランのネットワーク作りに欠かせない。