164-3 梶 徹也/旭化成株式会社 代表取締役

2013年11月12日 at 12:00 PM

発泡スチロール業界を技術でリードする

今月は、「表参道けやきビル」の型枠製作で協力いただいた、発泡スチロールメーカーの「旭化成株式会社」代表取締役、梶徹也氏に発泡スチロールについて伺いました。日本では魚介類の保存運搬用容器でおなじみですが、海外で最も使われているのは建材分野です。ブロックからスライス加工して断熱ボードとして、またボード形状だけでなく曲面や凹凸等、様々な形に成形でき、長期間にわたって断熱性能の劣化が少ないのも魅力です。

―発泡スチロールの特色について、改めて教えてください。
梶:発泡スチロールは、石油からつくられたポリスチレン(PS)を小さな粒状にした原料ビーズを蒸気で発泡させて作るもので、50倍発泡の場合、製品体積の約98%が空気、原料はわずか2%という省資源の素材です。1950年にドイツで開発され、日本では1959年より国産化されました。
弊社の創業は1965年、スチロール屋としては遅い方ですが、樹脂や金属を発泡スチロールにインサートする成形に早くから取り組み、業界をリードしてきました。近年では3Dによる提案設計から試作・成形・組立までトータルで受注できる強みを生かして、付加価値の高い機能部品の受注生産に特化してきています。床暖房の断熱材など大きい物から、吹けば飛ぶような小さな部品まで、殆どの要望にお応えできる各種成形機を揃えています。また、通常のスチロールより「自己消火性」「耐熱性」があるものや、「帯電防止性」のあるものも作っています。例えば帯電防止ビーズで成形すると、こすっても静電気を帯びてくっつくことが無くなります。
表面被膜の特許も持っています。独自の技術で成形している間に表面を溶かすと、硬化した平滑面ができ、「シボ転写」も出来るため意匠性も良くなります。また、インサートするシートの金型や成形工程もが不要となり、イニシャルコストの削減につながっています。

―「けやきビル」の現場では、136 本の SRC 造の独立柱の形がすべて異なるため杉板化粧型枠の転用がきかないとのことで、3D 図面で設計・製作された「スチロール+杉板」の特殊型枠を使って、コンクリートを打ち込んでいく方法がとられました。このスチロール加工を担当されたわけですが、いかがでしたか。
梶:現実的には、経費節減というより時間短縮に基づくためでしたね。我々がスチロールで柱の形を作り、その内側に型枠やさんが杉板を貼って型枠を作り、現場で鉄骨や鉄筋を内包するようにセットして、コンクリート打設を行うというものでした。昔、似たご提案を大手建設会社の依頼でさせてもらったことがあります。そのときは階数の高い建物で大きかったこともあり、強風下の取り扱いを現場監督が危惧したことや、型枠職人さんとの関係で実現しませんでした。その時にもかなり検証を行いました。現在のうちの工場の機械では最大2mのものまで成形できますが、これは1m単位で製作していきました。

―打設が終わって脱型したあとのスチロールは、減容器を置いて溶かして回収していました。
梶:オレンジを原料とする液体で発泡スチロールを溶かすものです。今回はご紹介した業者の設置する容器が小さく、あまり効率的ではなかったのですが、スチロールそのものは本来溶けると別の素材と分離するわけですから、回収して再利用できるものなのです。私は1991年、発泡スチロール再資源化協会発足時から、リサイクル問題に関わっていて、当時はまだ12.5%しかリサイクルできていなかったため、協会立ち上げに参加、助成金を集めて魚市場に減容器を置くことからスタートしました。今では3種類のリサイクル方法で、87.4%という高いリサイクル率を誇っています。
今回は、このような現場で建築の施工に参加できて、とてもやりがいがありました。今後もお客様の要望に対して技術に裏打ちされた提案力で、良い製品を生み出すお手伝いをしていきたいですね。そのためには設計段階から入っていかないとだめです。この20年で業界の会社は半分に減りました。価格競争に巻き込まれないためにも、付加価値をもってニッチな部分で勝負していきたいですね。
―本日は、ありがとうございました。

旭化成株式会社

1965年4月 創業
1968年7月 旭化成株式会社として設立
1973年3月 赤堀工場新設
1992年3月 前橋市貢献優良企業表彰
1992年3月 群馬県中小企業モデル工場に指定
2001年4月 1社1技術の認定受ける
2005年4月 ISO9001取得
2007年4月 エコアクション21認証取得
2008年6月 本社工場新設・移転

 

本社工場
群馬県前橋市西大室町1257番地3
TEL:027-268-2321
http://www.asahikasei-kk.co.jp/