156-3 佐藤弘史/㈲アイアンドエス代表取締役

2013年4月20日 at 2:02 PM

地域のユートピアを作りたい

今月は「アイエスコート西麻布」のオーナー、佐藤弘史氏をお迎えしま した。前頁でもご紹介したとおり、「サービス付き高齢者向け賃貸住宅」は、 日本ではまだ新しい施設です。個人が自宅の敷地に建てられて運営を開始さ れたのは、港区では初めてとのことです。佐藤様のお話を伺いました。

―麻布の北条坂に近い、都心でも一等地のこのあたりに、あえて高齢者向け 賃貸住宅を建てようと思われたのはなぜですか。

佐藤 : 私はここで、生まれて育ちました。60 歳すぎて、何か地域に貢献し なくてはという気持ちがあったのですが、この近くにある「光輝クリニック」 の医師と何か一緒にできたらいいという話になったんですね。 彼、土屋輝昌君は、九段高校の卓球部の後輩で、以前からこの地域の、例 えば高層マンションに一人住まいされているような高齢者の方たちを、「い ざというときどうやって助けるのか」ということを常々考えてきた人です。 そして、「アイエスコート」とときを同じくして、南青山に土地を取得し、 要介護状態の高齢者ための病院を建設することにしました。半年後に完成予 定です。私は、木造の自宅があったこの敷地に、本格的な介護が必要になる 前の段階の人たちを、お世話させてもらう住宅を建てようということになっ たのです。

ー同窓生の見事な連携プレイですね。

佐藤:港区では、老人ホームへの入居待ちが 400 人と聞いています。特に、 都心で、とりあえず介護は必要ではないけれど、生活の補助が必要な方々が 安心して暮らせる、このような住宅が緊急に必要になっています。

―建物の耐震性、防火性も高く、設計も都会的なデザインですね。警備会社 のセキュリティシステムが行き届いていて、「外出」か「在宅」か管理室で すぐわかるのが安心です。

佐藤 : 私もびっくりしたんですが、今の警備システムはすごいですね。水の 流れで判断するんです。入居者が外出から戻って、12 時間水が流れないと、 ALSOK に通報されてすぐにガードマンがやってきます。今、人間は、生活 の中で、12 時間以上水を流さないことは、ほぼ無いとのです。 このマンションでは、朝の 9 時から夕方6時まで、ヘルパーが駐在して、 入居者のいろいろなご要望に対応します。

―買い物の付き添いとか、そういうこともですか。公的介護支援サービスの ようなものですか。

佐藤 : もちろん、公的な在宅支援もここで受けられますが、買い物の付き添いなどは、前日までに予約していただくと対応できます。また、食事もこ こでは作りませんが、オプションでお弁当の配送を 1 食から承っています。

―お医者さんが毎週来てくださって、診てくださるというのもいいですね。 自宅で暮らしていても、元気な方だとまったく病院に行ってくれなかった り、健康診断も受けてくれなかったりということがあります。

佐藤 : 有無を言わさず、というのがいいんです。毎週、お医者さんが来て しまうんだから(笑)。 一番いい点は、こういう施設だと、前払い入居金を何千万円と取るとこ ろが少なくないのですが、それがないということです。以前から、不明瞭 で良くないと思っていました。何千万円も払った上に、毎月のランニング コストが30万円もかかかる。それで、万一すぐに亡くなってしまったら、 その入居金はどうなるのでしょう。それに対して、うちは非常に入りやす い住宅です。普通の賃貸契約です。敷金だけで、それは退去時にお返しす るものです。

―そうですね。先ほど、入居者のご家族の方にお会いしましたが、この近 くにお住まいとのことで、「何かあったときに遠くにいる両親をすぐには 引き取れないし、近くにいい建物ができて良かった」と話されていました。 今後は、クリニックとの連携で、ニーズも増えていきそうですね。

佐藤氏が15年前に作った、隣のビルの地下1階にある卓球場「卓愛会館」。近所のご婦人たちが、楽しそうに練習していた。

佐藤 : さらにこの建物の特色をあげるのならば、隣が幼稚園ということで すね。お年よりは子供と話すと若返る、元気になるといいますからね。 それから、入居者のためのイベントをいろいろと計画しています。建物 前の道で、産地直送の生鮮食品のバザーをやろうとか、演奏会、スポーツ もいいですね。私の得意は卓球ですけど。実は、隣の自宅マンションの地 下はすでに卓球場になっていて、卓球ができるんですよ。「卓愛会館」と言っ て、15 年前、私が脱サラをして作った最初の夢の実現です。

― 10 数年前から夢に向けて着々と努力されているんですね。都心で資産 をお持ちの方が、このように地域に役立つ利用方法を実践されることは、 本当にありがたいことですね。

佐藤 : 港区の行政の方にも、積極的に支援いただきました。個人で港区でやるのは私が初めてです。失敗しないで欲しいということですね。がんばります。

―本日は、ありがとうございました。

 

「クリニックとの連携で地域の役に立ちたいですね」

佐藤弘史

1946 年 東京生まれ
港区立笄小学校、同高陵中学校と地元の学校を卒業。
オーナーからひとこと

「都立九段高校で卓球をはじめ、青山学院大学で卓球に目覚め、現在も生涯スポーツとして、卓球を続けています。今回は、少しでも地元のお役に立てればと『都心型サービス付き高齢者向け住宅』を作ることになりました。」

「アイエスコート西麻布」の 玄関前で、統括マネージャー の鈴木秀一氏とスタッフの ヘルパーの方と記念写真