182-3 藤田 将友/株式会社Rバンク 代表取締役

2015年5月14日 at 4:22 PM

シェアハウスから始まる新しい賃貸のかたち

今月は、「コイシカワコロン」の企画・管理運営を担当された、Rバンクの藤田将友社長に、「シェアハウス」について伺いました。
―「コイシカワコロン」のコロンは、いろいろな利用ができるというコンセプトを意味しているそうですね。この建物はもともと印刷会社さんだったそうですが、普通の賃貸住宅のほか、女性専用シェアハウスも入りました。今では「シェアハウス」という言葉も認知度が上がりましたが、創業された9年前はまだまだ少なかったのではないですか。
藤田:そうですね。これもご縁かと思いますが、私たちが最初に「シェアハウス」を手掛けた飯田橋のビルが、まさに印刷会社さんだったのです。築48年のRC造のビルでしたが、印刷会社は重い機械を何台も据えるものですから建物は堅牢でした。エレベーター無しで5階建というのが、事務所主体のテナント付けに対してはデメリットでしたが、耐震診断を行い、建物1階の半分をベーカリーカフェ、もう半分をスタジオ・ギャラリー、2階をシェアオフィス、3-5階を女性専用シェアハウス、と一体的なコンセプトを作り出しました。3年で初期コストを回収し、非常にいい収益物件に育ちました。特に「シェアハウス」14件に対して、70件の問い合わせが来て、我々も可能性を感じましたね。シェアハウス事業を強化しようという流れになりました。この7年間で38件、手掛けています。

今回、飯田橋と異なるのは、1-3階に保育園が入ったことですね。結果的に保育園は賃貸部分とは別の設計者と施工会社になってしまいましたが、全体の設計はもともと一つで行くつもりでした。コンペには5社が参加しましたが、皆さん非常にモチベーションが高かったですね。それだけ魅力的な建物だったのです。動物病院という話もあったのですが、地域のコミュニティに貢献する意味では、私は絶対に保育園で行くべきだと考えていました。

「シェアハウス」はもともと外国人専用の「ゲストハウス」から派生してきた言葉なんですが、そのターゲットが日本人で、一般的な賃貸住宅より少しブルーワーカー向け、という印象でした。シェアハウスのポータルサイトでは圧倒的な量を誇る「ひつじ不動産」も、最初は「ゲストハウス」という言葉を使っていました。これが第1世代とすると、第2世代はいろんな形の「シェアハウス」が無秩序な形で出てきた時期。消防法規など度外視した利益優先物件がいくつも出てきたのです。第3世代はさらに「脱法ハウス」などと呼ばれたひどいものが出てきたときで、相対的に良い物件の足を引っ張ることも起きてきて、当時は危機感を覚えたものでした。我々のようにきちんとやっている会社もあるんだ、と声を上げたかったですね。結果的には金儲けだけの物件は淘汰されていきました。
現在は第4世代。デザインや企画に優れ、確かな商品価値を提供できる物件だけが生き残れる、競争原理が働く健全な状態に落ち着きつつあります。

―今後、「シェアハウス」はどういうふうになっていくとお考えですか。
藤田:普通の賃貸住宅、特に単身者向けのアパート、マンション、通称「アパマン」は都心部で最低100万戸以上と言われています。シェアハウスはそれに比べてまだ2万戸くらいです。100:2の割合です。これまでのようなプライバシー重視の閉鎖的な住戸より、時代の流れ、特に若い人の価値観の変化をみるとどうみても賞味期限は「シェアハウス」の方が長いと思いますね。10:2くらいになってもいい存在ではないかと考えています。若い世代は、車も家も「所有」するという意識は希薄になりつつあります。まだまだ需要があるのではないでしょうか。それに建物づくりには、建築家の出番がもっとあっていいと思います。

―最近は若い方だけでなく、いろんな年代の方の孤立が問題にされています。
藤田:まさにおっしゃる通りです。以前から高齢者の問題に取り組めないかと考えています。お年寄りの孤独死は、人生最期の瞬間としては、あまりにインパクトの強い社会問題。「サービス付高齢者住宅」もありますが、補助金があって増えてきた高額物件です。これからは地域で訪問介護や訪問看護を受けることを前提とした、一つ屋根の下で協力しあって住む方が効率的であり、現実的です。まだ昔の世代の人は、「賃貸物件=品格が下」という人が多い。でも少しずつ「シェアハウス」という賃貸物件の認知度を上げて、共同生活に免疫力を持っていただき、コミュニケーション能力を鍛えて、問題解決能力をもってほしい。一つ屋根の下で暮らせば、それはいろいろな問題が起きる。でもそれを解決することで、人は能力を維持できるのです。それをわかってくださるオーナー様から、お声をかけていただけていると思います。
―本日はありがとうございました。

「シェアハウスの暮らしで、コミュニケーション能力や問題解決能力を養うことができるでしょう」

 

藤田 将友

1976年 神奈川県生まれ2006年 業界初、「建物検査付リノベーション仲介業務」開始
「Rバンク」設立 2007年  第3者機関「住宅性能保証協会」と戸建・マンションの検査プロ グラムを共同開発。仲介業者として全国で初めて 調査費用を全額 負担
2008年 ビル1棟フルリノベーション「飯田橋グランプラス」の企画運営 で高い稼働率を実現。
以後、シェアウスを始め、既成概念にとらわれないアイディアに
より、新たな不動産マーケットの開拓に意欲を燃やしている