185-3 鴨ツトム/インターデザインアソシエイツ

2015年8月15日 at 3:39 PM

ハニカムチューブ・アーキテクチャーで低炭素社会へ

-今月は、麻布コーポラティブハウスの総合設計監理を行った、インターデザインアソシエイツの鴨ツトム氏にお話を伺いました。

―早稲田大学を出られて、弊社でも施工させていただいたことのある、早川邦彦先生の事務所にお入りになったのですね。
鴨:最初は林雅子先生の事務所です。住宅の基本を勉強させていただきました。次に早川邦彦先生の下で、集合住宅を始め、あらゆることをやらせていただきましたね。今でも、飲んだりお話したりご指導いただく機会がありますよ。
―それからインターデザインアソシエイツを立ち上げられたわけですね。
鴨:そうですね、今日は、中でも我々が2005年からこの10年間取り組んできた「ハニカムチューブ・アーキテクチャー」について、ちょっとお話をさせていただく機会をいただければと思います。
―それは面白そうですね。
鴨:「ハニカム」はミツバチの巣と言う意味ですが、自然界ではミツバチの巣のように規則的で力学的に強度のあるものがたくさんあります。また、1991年発見された、「カーボンナノチューブ」はこの六角形ネットワーク・パターンがチューブ状になった、非常に強度の大きいナノスケールの自己組織化構造なのです。そのカーボンナノチューブから、ハニカムチューブ・アーキテクチャーは想起されました。

※カーボンナノチューブは、半導体や光学機器、燃料電池などの応用が期待されている。特にアルミニウムの半分という軽さ、鋼鉄の20倍の強度(特に繊維方向の引っ張り強度ではダイヤモンドすら凌駕する)と非常にしなやかな弾性力を持つため、将来軌道エレベータ(宇宙エレベータ)を建造するときにロープの素材に使うことができるのではないかと期待されている。(Wikipedia より)

この基本パターンを建築で活かせないかということでこれまであるハウスメーカーと、構造設計者たちと共同で研究開発や実験を行ってきました。
PC(工場生産)でY字形、つまり1辺のベクトルが必ず2辺に分岐される三又構造を組み合わせて繋げて順番に組み合わせていく。この六角形のフレーム=ハニカムフレームは、ラーメン(四角形)とトラス(三角形)の中間の特性を持ち、両方の力学的特性を持っています。つまり、構造力学的な安定性やその強度と剛性を的確にコントロールできる特性を持っているのです。また、その中にさらに小さな六角形を組み込んだフラクタルハニカムは、新たなフラクタル力学の可能性を開拓するものと考えられます。
実際に建設現場を考え、工場生産したものを現場で積み上げていくことを想定した実験を何度も行い、これまで日本建築学会で3度発表が行われています。施工性の良さや材料の省資源化、CO2排出量の削減、その後の建物のメンテナンスも部材管理など建物全体の履歴管理システムに適合しやすいといった利点があるうえ、バラエティに富んだデザイン、ダイナミックな形の展開を期待できます。
鉄骨でくみ上げたもの、コンクリートで作ったものとデータを取っておりますが、例えば鉄骨では、通常の建物の二酸化炭素20%削減を実現しました。コンクリートの強度は通常の建物の6倍、鉄骨系では20%以上の強度増加がみられ、結果、タワー系の建物でかなりの効果を発揮すると思われます。
しかし、リーマンショックなど環境の変化で研究事業が撤退ということになり、「それなら、我々が自分たちの力で意地でも実現させてやろう」と、今、考えているところなのです。
試算ではゆくゆくは全体の工事費を7%くらい軽減できると考えています。最初はトントンですかね。最初に斜めのジョイントの部材が金額的にかかるかもしれませんが、構造量は20%減ると思われます。
現場施工は、そこでしかできないことがたくさんあります。現場で組み立て、できることは整理して省力化し、職人も減っているこういう時代、工業化と現場での施工の組み合わせが可能な工法だと思っています。

建築をお好きな方で「環境にいいもの、地震に強いものを造りたい」という目的をお持ちなら、一つの手段ではあると思いますね。実験結果では、構造量は20%以上減るし、全体工事費は約7%減るわけですから。そして、そのときは、ぜひ辰さんと協働作業が組めたら、と思っています。

―実現するといいですね。本日はどうもありがとうございました。

 

 

鴨ツトム氏

1960年 東京生まれ
1982年 早稲田大学理工学部建築学科
1982年 林・山田・中原設計同人
1984年 早川邦彦建築研究室
1992年 インターデザインアソシエイツを塩田能也と共同設立
2001年 規格化集合住宅スケルトンSI+を開発
2005年 ハニカムチューブ建築を開発