186-3 林 康弘/アーキステーション

2015年9月19日 at 10:49 AM

ヒアリングを活かした提案型プランニング

 

今月は、「更生保護法人善隣厚生会」の設計を担当された、林康弘氏にご登場いただきます。弊社は、2008年、「Y’s Annex green court」(写真③)という賃貸集合住宅の施工を担当させていただきました。

―お仕事ぶりを拝見しますと、弊社が施工させていただいた「Y’sシリーズ」のようなマンションから、商業施設、病院、リゾート計画など、多岐にわたっていらっしゃいますね。
林:そうですね。大学を卒業して、将来オールマイティな設計ができるようにそれぞれの特色を持った何社かの設計事務所で修行させていただきました。
気持ちのいい空間、精神的な豊かさをどこかに入れていきたい、という思いはいつでもありますね。インテリアも好きなので、インテリアデザインだけのときもあります。飲食店は、自分が飲み喰いが好きなので、いくつかやらせてもらってます。(笑)
それでも、年齢とともにデザイン性を重視したものは少なくなり、本当の居心地良さとは何かを考えるようになりましたね。
内装はともかく、建築は短期間で済むものではないので、しっかりとしたプランが必要です。その意味で、辰は設計事務所との付き合いが多い会社なので、設計主旨をきちんとわかっていただける施工会社だと思います。同じ方向性を向いていないと、ものづくりはできないと思っていますから。

―お客様もこだわりのある方が少なくないですね。
林:基本的には、こちらの考え方を受けていただいて、ずっとお付き合いしていただけるので、新しい空間に対して新しい方向性でとらえて、使っていただければいいのですけどね。
今回の更生保護施設という建物は、入居される方たちを人として信用したうえで近隣の方々にも相当ご理解いただかないといけないので、社会全体が開けた考え方を持っていっていただかないと成立しません。
―事件が起きると困りますね。
林:そうですね。法務省の方と落成式の時にお話したのですが、こんなに開いた空間の施設は、全国にはほとんどないということらしいです。「これからは必要なのかな」という話をされていましたね。近隣との関係ですぐには難しいかもしれませんが、再出発する人たちに、3,4か月の時間だけでも、居心地の良い場所になってほしい。
こういう施設は全国でも数が少なく、県で1つか2つでしょう。それに地方のその施設を出ても就職する場所がないため、結局、都心に希望が集まるということです。また、4か月など一定期間滞在させるだけではだめで、カウンセリングとか、もっとケアを大事にしていけば、よりいいのではないでしょうか。今回、この開いた空間を作ったことで、新しい方向性を刺激できれば、と感じます。

―新しい提案といえば、弊社で施工させていただいた「Y’s シリーズ」の単身者向けマンションは、ファミリー、夫婦、その前の単身者向け賃貸マンションとして、シリーズで作られていったのでしたね。
林:千葉の船橋のあの場所で、家賃は周辺相場より約2割高で、地元の不動産会社ではこの物件のクオリティを生かしてもらえないという判断で、青山の不動産会社に募集を依頼しました。東京駅から約30分というアクセスの良さで、入居してくださったのは、その価値がわかる東京の方がほとんどでしたね。

こちらの泌尿器科医院(「K-CLINIC」写真②)では、中庭を介して、待合を女と男に分けたプランを作りました。(施工は別の会社だったがメンテナンスは現在辰で行っている)玄関ロビーの目隠しで目線を合わせないように、男女別のアクセスを設ける工夫を行ったのです。泌尿器科の女性の患者さんは意外に多いのですが、入口を分けている医院はまだまだ少ないそうですね。
病院であれ、マンションであれ、いろいろなことに対して、まだまだ改善の余地があると思います。なにか、今までにないようなものを提案していきたいと常に思っています。そのためには、やはりお施主さんといろいろコミュニケーションをとる、事前の打ち合わせの重要性を感じますね。プランニングの前のヒヤリング、それが大事。結局プランですね。
―本日はありがとうございました。

 

林康弘

1955年 三重県生まれ
1978年 日本大学建築学科卒業
1978年~84年 綜合設計社
1984年~85年 アトリエダッグ チーフデザイナー
1986年~92年 海老沢宏環境工房 取締役設計部長
1992年 アーキステーション 設立 代表取締役
現在に至る