200-2 記念インタビュー  北山恒/architecture WORKSHOP

2016年11月13日 at 11:42 PM

 

「建築家は、辰のような会社を大事にした方がいい」

 今月は、創刊200号を記念して、創業当初から設計物件の施工を多数ご依頼いただいている、建築家の北山恒氏に、巻頭インタビューでお話を伺いました。

―北山先生の設計による表参道の「Omni Quarter」はじめ、前身会社で請けたいくつかの仕掛かり工事を、新しい契約で完成させることができたのが、弊社の新たなスタートでした。

北山:経済の厳しい側面を経験されて、大変だったことだと思いますが、前身会社は、新しい社会の動きに敏感で、何か仕掛けていくことに前向きでした。今も、その遺伝子は残っていると感じますね。

 最近ある建設会社が倒産した時にも感じたのですが、建築家はわがままな人が多くて、施工に無理難題言って冒険するけれど、いざトラブルになると責任取らない人が結構います。でも辰のような工事をやってくれる施工会社を、建築家は大事にしなきゃいけないと思いますね。赤字出すような仕事をしてもらっては困る。「請負」という言葉がありますが、こだわりの建築に応えようとする辰の場合は、自分のアイディアをリアライズするパートナーだと思ってやってほしい。
今、気になっているのは人々の生活の仕方がどんどん変わってきているということ。しかも働き方、ライフスタイルが変わってきているのに、それを受け止めるハードウェアがない。
これからの建築は金儲けだけではなく、人々の生活を支えるプラットフォームでなくてはならない。大きな利益を生むものではなく、地道にやっていくことが求められる時代になったと思います。
―辰が施工させていただいた物件では、どれが思い出されますか。この17年で10件以上になりますが・・・。
北山:印象深いのは、「集合住宅20K(Vague;二十騎町の集合住宅)」ですね。ある程度の広さを確保して、いろんな要素を再編成させることができました。
―新しい構造にもチャレンジされて、後に建築学会賞を受賞された「洗足の連結住棟」につながるものだと述べられていましたね。
北山:「20K」くらいの規模があって、寛容な建物、つまり所有権でなく使用権を互いに持ち、そのコストを下げて皆で豊かな暮らしをシェアできるものはないか、そういうものを考えています。会員制でユニットを共有しながら住んでもいいし、運用してもいい。賃貸マンションも、今までのようにただ同じようなワンルームに住むのでなく、人々がプライドをもって住んで、仕事をしていける建物を作りたい。建物だけでは解決できるわけではありませんが、大きくなくても社会のプラットフォームになる、新しい建築が必要だと思いますね。
そしてそのとき、ジョイントできる辰のような会社の仕事がそこにあると思います。
施主というのは何かをしようとしている人なのだから、そういう方たちとのネットワークを大事にしていっていただきたい。やりすぎるとよくないですが、そんな生活をサポートする街づくりを一緒に仕掛けていってほしいですね。
―昨日「資本主義の終焉」というテレビ番組を見たのですが、ほんとに社会が変容しているのに、国の施策が追いついていない気がします。
北山:2007年のリーマンショックで世界の経済市場が大きく変わり、2011年、東日本大震災で、日本の建築家の意識はほんとに変わった。エネルギー問題も変わらなくてはならない。2年前に出た水野和夫さんの『資本主義の終焉と歴史の危機』は、建築家の間でも結構、話題になっていますが、これからは「定常型社会」、つまり、経済は成長しないことを前提にした枠組みの中で、生活を豊かにしていくことを考えなくてはならないのです。建築にも新たなマーケットが出てくると僕は思います。
20年前、デザイナーズマンションの仕組みを考えたとき、あの中にはいろいろなボキャブラリーが入っていた。メゾネット、ロフト付のユニット、コンクリートのキッチンカウンター・・・・、土地価格が高騰したので、相続税を払わないで固定資産を維持する方法や技術を考えていきました。そして、さらに、個人のこだわりを活かしたコーポラティブ住宅が生まれてきた。そんな風に、ビジネスも建築も変化しています。これからも辰さんと一緒にやっていきたいと感じています。
―こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

北山恒
1950年生まれ
横浜国立大学大学院修士課程修了
1978年 ワークショップ設立(共同主宰)
1995年 architecture WORKSHOP設立主宰
横浜国立大学大学院Y-GSA教授を経て
2016年法政大学教授
■代表作「洗足の連結住棟」「祐天寺の連結住棟」など
■受賞歴 日本建築学会作品賞、日本建築学会作品選奨、日本建築家協会賞など。
■主な著書  「TOKYO METABOLIZING」(TOTO出版)、「in-between」(ADP)、「都市のエージェントはだれなのか」(TOTO出版)など