208-3 小杉正佳 QUICOオーナー

2017年7月12日 at 10:36 AM

新しい外壁補修の形に可能性を感じました

 

  今月は、2005年6月竣工した、神宮前の店舗・事務所・住宅のコンプレックスビル「QUICO(キコ)」のオーナー、小杉正佳様に登壇いただきます。
キャットストリートに近い、住宅と商業地区の混在した地域に建つ建物は、地下2階、地上3階。スキップフロアでさらに10層以上の多層構成になっており、斜線制限に沿って、最大限のボリュームを確保するべく、塔屋を持つ不定形なプランになっています。
もともと別の建設会社が施工したものでしたが、その会社が竣工直後に倒産。FRP防水にトップコート塗装を施した外壁は、4、5年前から外壁の一部が破損したり、その補修した部分にさらに水がたまって、建物内部にまで入り込んだりしていました。その都度、必要な補修工事が行われていたようですが、いよいよ本格的な修理が必要となり、小杉様は全体的なメンテナンスを継続的に行うことが可能な地元の工務店を求め、弊社にコンタクトをとられました。
事前調査の結果、いくつかの条件を整理した担当者は、以前、工場併用事務所ビルの屋上で施工した「ポリウレア樹脂」の吹き付けが最適だろうと提案。調査を含め5カ月かかりましたが、梅雨が訪れる前に工事も終わり、ほっとされている小杉様にお話を伺いました。
―2005年には建築雑誌にも掲載された注目物件でしたね。
小杉:設計の先生は国内でとても尊敬している建築家です。でも5,6年前から雨仕舞の良くない箇所が出てきて、その都度直してはいました。が、本格的に直すには、足場を組んで建物全体を修理する必要が出てきました。外壁を覆うと店舗の売り上げが3割は落ちます。それにもともとの施工会社でないと二の足を踏む業者がほとんどです。当たり前ですよね。ほんとに困りました。
施工方法も、もともと壁が薄いので、ガルバリウム鋼板を貼るなどさらに壁を厚くすると建物全体への負荷が大きく、構造計算も必要になる。形も不定形だし、「できれば吹き付けのものが一番」と私も思っていました。「そろそろ、耐候性、耐震性のあるいいものが出てきてもいい頃だ」とも…。提案いただいたポリウレアは、車の塗装、軍関係の設備で、名前は知らないけれどそんなものがあるということだけは知っていました。
結論から言うと、今回施工していただき、ほんと良かったですね。施工前に数値を測ったわけではないのですが、この間も大雨が降ったのに、水漏れはなく、確実に水は止まった感じです。大きな地震で亀裂などがはいらない限り、大丈夫ではないでしょうか。
 そもそも下地処理の段階で、3階の以前補修した箇所を開けたら、溜まっていた水がまるで膿みのようにばっと出て、1階のトイレや2階のキッチンの上など、室内のいろいろな場所の水漏れが止まっていきました。それはポリウレアをかける前にわかりましたね。昔から店をきれいにするようにスタッフにも徹底していて、かなりの時間を割いて掃除します。それだけ手入れすると、店の若いスタッフも建物のことがよくわかってきます。だから皆で「水が止まったな」と話していたんですよ。
店の商品も海外に自分で買い付けに行き、展示会も定期的に開催して、2年先まで予定が入っています。少しはこだわりの品を扱っているので、お客様のためにも、建物の安全・安心はとにかく第一なのです。
―設計のことも含めて、建築にお詳しいですね。
小杉:以前は100店舗近く全国展開していて、それだけ設計の先生と打ち合わせをし、素材などにもこだわりましたから。床の厚みも薄い店舗に入るとすぐわかる。床材の木の扱いが上手な職人を求めて、いろいろな地方を訪れたりしましたね。その後、この1店舗にしたため、今回は工事の間仮店舗での営業は不可能だったので大変でしたが、このポリウレアは施工に負担がないので、いろんな素材に利用可能ですね。テントなんかいいんじゃないですか。特殊な建物、竣工後10年に満たないのに問題が起きて困っているような建物のオーナーには、ぜひお勧めしたいですね。大手町あたりの古いビルではほんとに困っているという話です。
漏水の心配が片付いたところで、今度は2階の改修もお願いしたいと思っています。
―どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

QUICO

場所:渋谷区神宮前5-16-15
設計:坂本一成研究室+アトリエ・アンド・アイ
構造設計:金箱構造設計事務所
構造:S造
規模:地下2階、地上3階、塔屋1階
用途:店舗・事務所・住宅
施工:バウ建設
竣工:2005年6月