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49-1  三ツ木ビル

構造:S造
規模:地上3階
設計:溝口健二/建築設計計画

49-2 成城の家M邸増築

成城駅から歩いて3分、新しく二世帯住宅が完成しました。設計の高田建築設計事務所の高田光雄氏に原稿をお寄せいただきました。

「M氏親子二代・同一敷地に所謂二世帯住宅を構えるためには、建築確認申請上[長屋]となった。もとより、一敷地に異なる世帯を構えるには、敷地を分割し(分筆ではない)、分割した敷地面積内で、法的諸制限を満たすか、母屋と一体となった増築の形式をとるか二者択一である。
M邸の場合は、施主の与条件のために既存建物(母屋)が現行法規内で適法であるか否かを問われ、不適格建物に対する増築行為は認めないとの見解に基づき、一つには既存建物の耐震性能を問われる事にもなったが、数多くの審査項目に対し、行政と折衝を重ね合意を形成しながら、果ては成城規定=道路・街区景観整備・緑化計画にいたるまで、父親方の多大なご理解とご協力を得て、貴重な資産の保全と確保をする事ができた。
当初、地上3階建てRC造計画において、母屋の日影が現行日影規制を満たさないため、日影規制を要求されない高さを確保しながら、3階の容積を地下に計画変更せざるを得ない結果となっている。地下の居室に対する通気と除湿対策はシックハウス対策の換気計画と一体に計画してあるが、最上階に設置した強力な換気ファンが初期の目的を果たし、機能するか否かが問われている。
ちなみに、不適格建物をあらゆる角度から、適格建物に認めさせるためには、隔月開催の建築審査会を経てその合否結果がなされるルートもあるが、長期を要し、且つ否となる事もあり得るので非現実的である。」

構造:RC造
規模:地上2階、地下1階
用途:専用住宅
設計:高田光雄/㈱高田建築設計事務所

48-2 田園調布の家 B邸

撮影:斎部功

 美白化粧品の研究で有名だった女性社長。彼女の急逝後、田園 調布の邸宅建設予定地跡の一部に、今回ご紹介するB邸が、弊社 施工で竣工しました。  B様は、不動産を中心としたグループ企業のオーナーです。土地 開発から不動産・住宅販売まで総合的に手がけ、北海道のホテル など、一旦スタートさせた事業は部下に任せるという方針で、不況知 らず。次々と事業展開を続けています。現在新たに「食」の分野にも 進出中です。
今回の自宅の建築にあたっては、3社によるコンペを行ない、「宇 野亨/シーラカンス・アソシエイツ」の設計となりました。天井が高く、 ダイナミックな階段のデザインが気に入られたそうです。傾斜地のた め地下を有効活用するプランになっています。ドライエリアにより採 光の行き届いた3人のお子様の部屋、広い廊下が地下を感じさせま せん。1階のリビングは広い吹き抜けを持ち、全面ガラス窓と連続し た南側のウッドデッキが、開放的な空間をつくっています。リビングの 奥はダイニングで、大勢の来客にも対応できる広さです。道路に面し たエントランス部分は、シャッターや塀がスチールルーバーで、外か ら建物内部の雰囲気が窺えます。田園調布にはこのように、道路に 向けて開かれた建物が少なくありません。これには理由があります。
大正時代に渋沢栄一が開発した田園調布は、その後、渋沢の提 唱した「公園的な街づくり」を維持するために「田園調布憲章」や「環 境保全についての申し合わせ」という街づくりの規則が定められまし た。「緑豊なゆとりと潤いのある住宅地として建築物の用途混在及び 敷地の細分化を規制し、良好な住環境の保全・維持を図る」ために 建物の高さや色彩、擁壁、垣根、隣家への配慮などについての規則 が設けられています。施主は建築届出書を町会に提出し、町会の地 区担当者が、その後取り決めが守られているかを調べます。
例えば、原則として垣根は街の伝統的特長である生垣あるいは 植木で、どうしても石、レンガ、コンクリート等の不透明材料を使用する場合は地上1.2mとされ ています。金網塀など透け て見える場合は地上2メー トルとされています。
(社)田園調布会の役員の 方にお話を伺ったところ、 最近は取り決めを守っても らえないことも多いというこ とです。バブル崩壊で古く からいた住人が相続税を払えずにこの街を出てしまい、その後、手 放された敷地が細分化された住宅用地にならざるを得なかった、と いう理由もあるようです。 特に「東京都風致地区条例」で定められた緑化の規則は、接道 距離ごとに1平方メートルの緑化を施すというもので、さまざまな擁壁 の形態も鑑みて算入方法も現状に即した対応がされていますが、な かなか満たされない事もあるそうです。 しかし、最近では物騒な話も多く、「生垣ではセキュリティ面に不 安がありませんか」という質問をしたところ、「いや、却ってオープンな 方が安全なのです。」というご返答でした。「人の目があると泥棒が入 らないんですよ。」 「隣近所のコミュニケーションが多いほうが、災害時に犠牲を出さ ない」という事例もあります。ただ田園調布では、バブル期以前から、 既に、高い壁で囲まれたガードの固い邸宅がいくつも建っており、 「田園調布の邸宅」というと、そのようなイメージがないともいえませ ん。有名人の住人も多く、セキュリティをどのように考えるかは人に よってさまざまです。

きちんとした街づくりのコンセプトを継承していくことが、街の価値 を高めることになります。また田園調布のルールが、ほかの街に当て はまるというわけではありません。街づくりの基本的な考えをゆるぎ ない形でつなげていく―それには忍耐強い姿勢が求められます。 「建物の中は自分のもの、外は街のもの」という気持ちこそが美しい 街並みを作り出すのではないかと思います。

134-3 六本木ヒルズ T 邸 リノベーション

ニューヨークスタイルのマンション全面リフォーム

六本木ヒルズ高層棟の 1 室で、ゲストハウスを兼ねた、オフィスのデザイン・リフォームを施工。以前賃貸で暮らしていた六本木ヒルズを気に入って、オーナーが購入した物件です。

もともと東京タワーも望める高層階からの景色や、六本木という都心のもてなし空間としての良さを気に入られていたオーナーですが、今回は「スタイリッシュで本物志向の空間を追求したい」とのご要望です。
設計を担当したのは、カガミ建築計画の代表、各務謙司氏。
各務氏は、早稲田大学大学院卒業後、米国ハーバード大学大学院に留学し、ニューヨークの超高級住宅設計事務所 Cicognani Kalla Architects(CKA)にて約 2 年間修行されました。CKA は都心のマ ンションリフォームと郊外の新築別荘の設計を中心に行っている、アメリカのセレブリティにはよく知られた設計事務所だそうです。
「ニューヨークでは、新築のマンションに住むより、古いマンションをリフォーム・リノベーションして住むことの方が、尊ばれる文化がありました。特にプレ・ウォーと呼ばれる戦前に建てられたマンション・コンドミニアムを買って、自分たち好みにリフォームされた物件に住むことは、誰もの憧れです」と各務さん。
1996 年帰国後は、デザイン・リフォーム、マンション・リノベーションに特化した建築設計を行っています。

<T邸リノベーション概要>
以前の2LDKの間取りを、約 50 ㎡(30 畳)の大型LDと書斎と仕事場を兼ねた小部屋、それに寝室へと変更。
キッチンの位置と洗面・浴室の位置を交換し、寝室からの利便性を向上しています。
リビングダイニングと書斎の間仕切りは、特注のスチール製サッシを使い、インダストリアル(工業的)な雰囲気を作り出しています。
それぞれリビングに面したミニバーとキッチンは建具を一体で作り、閉じたときは大きなパネルに見えるようにデザインしました。
リノベーションの建築工事だけでなく、家具やカーテンブラインド類のコーディネート、そしてアート調度品のセレクションもカガミ建築計画が行いました。

<六本木ヒルズについて>
既存の図面については、設備図面なども管理会社が一括管理しています。一方、工事に関しては、資材の搬出搬入口なども別で工事の時間帯や養生について取り決めがあり、居住者への並々ならぬ配慮が感じられました。 また、六本木ヒルズは、都市ガスによる自家発電を行っており、3 月 11 日の震災時にも停電せず、逆に東電に売電していました。一瞬でも停電したら問題となる金融関係の外資企業などがこぞって入居した理由は、そんなところにもあるようです。

After
ダイニングエリアは、灰色の珪藻土を塗った壁が空間を色付け、中央のリビングエリアは、書斎との間のスチールサッシが空間を特徴付けている。カッシーナのダイニングテーブルとチェア、アルフレックスのソファ、ミノッティのサイドテーブルと、高級輸入家具を採用している。 (写真①④⑤はカガミ建築計画。それ以外は編集部)