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46-3 東山 1/2 Un‐Demi(アンドゥミ)改装工事

中目黒駅から徒歩数分、山手通り青葉台1丁目の交差点を一本入ったところに、デザイナーの斎藤美保子さんのシ ョップとアトリエがオープンしました。改修設計を手がけられた岩澤靖幸氏(s.a.b.)に取材しました。

「<ショップ(店舗スペース)とアトリエ(工房スペース)の2つを約50坪、天井高4,700mmの中で有効に構成する><11月初旬に展示会、12月中旬にOPENという工程を厳守する>という要望に対して、今回に限らず『作り過ぎない空間屋』として、どれだけ2つのスペースを機能的且つあいまいに融合させるか、に配慮しました」

「中2階を設けるには微妙な天高のため、スラブ厚を最小限に抑え、柱をなくし上から吊る方法を取り、1階部分の有効スペースを多くとりました。あえて天井の高いスペースにアトリエを配置しましたが、気持ちよく活動していただき、すばらしいもの創り出してもらえれば、と思います。

いわゆる内装工事というよりは、前記のスペースにもう一つ別の構築物を造るという感じでしたが、辰には『坊(西麻布)1999年12月竣工』の時以来の、鍛冶屋パワーを見せつけられました。工程的にも一時、1週間の中断と正味1ヶ月の工期にもかかわらず幾度の変更にも根気よく付き合っていただきました」

 

45-2 IDÉE ROOMS UEHARA(イデールームス上原)

家具製造販売、室内デザインを手がける「イデー」は、2年ほど前から東京都心部の再生を図る「IDÉE R-project(イデーアールプロジェクト)」という、リノベーション(修復)事業を展開してきました。例えば廃墟として見捨てられていたオフィスビルをリフォームして、キッチンやシャワーのついたSOHOにしたり、ギャラリーにしたりして、新しい価値を見出すことを提案しています。

今回ご紹介する「IDÉE ROOMS UEHARA(イデールームス上原)<日美ビル>」は、「そこに住む人のライフスタイルからイメー ジしてデザインする」という、新たなプロジェクト「IDÉE ROOMS」の第1号として、辰が施工しました。総合企画は開地総合企画です。
デザインディレクションを手がけた「IDÉE R-project」の倉持正之氏にお話を伺いました。

―新聞や雑誌でリノベーションがだいぶ取り上げられていますね。
倉持:ええ、いろいろお話をいただいていますが、「IDÉE R-project」が提案しているのは、むしろ「Re-think(再考する)」ということなのです。「オフィスビルを住居に転用する」とか、「流行になっているので」と不動産物件を持ち込まれて、必要もないのにただ転用すればいいと勘違いされていることも少なくない。でもわれわれの提案は「いろんな意味でのカタチを考え直す姿勢そのもの」ですね。
例えば「オフィスを住居に転用する」ときに、そのメリットを考えるとします。多くの人が、経済的効率や稼働率など、既成のものからなかなか抜け出せない。それだけではない別の価値があるではないか― それをわかりやすい形で人に伝えていくことが大切です。利益もあがり、世の中のためになる、そういう意味付けをこれからは自分で作り出していかなくてはならない。我々はトータルで状況をデザインすることにこだわっているのです。

―今回「IDÉE ROOMS」という、新築の賃貸住宅を提供する新たな一歩を踏み出しました。
倉持:コンクリートの打ち放しや吹き抜けの空間、ガラス張りのトイレのマンションが流行っていますが、建物自体の空間をデザインするより、生活そのものをデザインする方が大事じゃないか、と我々は考えるわけです。「UEHARA」も建築として完璧じゃなくてもいいという思いがある。建物をカタチ作っていくのは、住まい手であり、提供する環境です。シンプルなデザインの建物の中に、住居やテナント、それらをどういうふうに営業するのか、生活にどう関わるのかを一つ一つデザインしていきたい。

「UEHARA」では、そこに暮らす人のために、1階に飲食店を入れました。人気の代々木上原というスポットです。居住者は帰宅も夜遅くなりがちで、家に帰ったら「何かちょっと食べたいな」という気分になる。さっぱりと蕎麦でも食べて休みたい、でも普通の蕎麦屋は夜8時には閉めてしまう、そんなときおいしい蕎麦屋が近くにあったら便利でしょう。そして休日、遅く起きて、オーガニックな食材の店でゆっくりと朝食を摂る、そんな暮らしをイメージしています。

1階の「O.R.G. food bar」は、平日は深夜まで、週末は朝からの営業時間となっており、まさに「地域密着型の food bar」になっている。また飲食プロデューサー中村悌二氏の手がけた、蕎麦屋「山都」では、おいしい蕎麦だけでなく、日本酒も楽しめる酒肴が用意されている。

―話題は変わりますが、 「IDÉE R-project」を始め、IDÉEに倉持さんのように若い人が集まる秘密とは何なのか、聞かせてもらえますか。

倉持:もちろん、社長(黒崎輝男氏)の個人的な魅力はあります。既存情報に振り回されない、バランス感覚がよく、好奇心は旺盛だし、情報をキープする力がある。加えて、会社が大きくなっても企業体質にならない、ということがあげられます。
例えば、TDBなどを見てもらってもわかりますが、黒崎の展開する仕組みは、企業というシステムにとらわれないこと。自分をはじめ、Rにはもともと独立して仕事をしていたスタッフが多く、ひとつの組織に属していながら自分で何かをしようという気持ちが旺盛で、それが強みになっているように思います。常に本質を共有しあっているか、確認をしています。実は飲み会であったりするわけですが(笑)、徹底的に話し合う。
社会的コンバージョン(変換)の波が顕著であり、一方でリノベーション(修復)の波が派生しています。その中でもIDÉEが先んじているとすれば、その ネットワークの作り方のユニークさだと感じますね。

―それが出来ているのはなぜでしょう。

倉持:もともと家具メーカ―で、自分たちで作って売って、「入口から出口まで最後まできちんとやる」という行為が身についている。売るという行為まで責任を持とうとしているため、メディアについても非常に興味を持ちながら、力を入れているということです。

これらのものを分断し効率化を図ってきたのが、これまでの日本の企業のあり方でした。しかし、一見非効率化に見えるものの中により効率的に進める何かがあるのではないか、と考えます。 我々がやりたいのは、「ルールを変える」つまり「マイナス要因をプラスに変える」、「発想と視点を転換する」ことなのです。建築についても目に見える設計、施工の部分の仕事ではなく、企画・マネジメントなどディレクション(方向性)を明瞭にして協力していくのが、これからの仕事の仕方だと思っています。

-本日はありがとうございました。

(TDB:東京デザイナーズブロック。3年ほど前から、本社のある青山界隈でイデーが年に1度開いている、クリエーターの発表の場。国内外からさまざまなアーティストが参加し年々大きくなっている。FMラジオなども巻き込んで街中を若い人が歩き回る風景が展開される)

 

構造:RC造
規模:地上9階
用途:共同住宅
設計:㈲高山企画設計
総合企画:(株)開地総合企画
企画・デザインディレクション: IDEE R-project
竣工:2003年11月
撮影:studio μ、 阿野太一、編集部

44-2 Trevento(川口集合住宅)

撮影:齋部功

埼玉県南部の川口市―「鋳物の街」として知られたこの街は荒川をはさんで東京と隣接し、JR埼京線、京浜東北線などで池袋から30分とアクセスも良く、マンションなどの建設が進みつつある高密度の地域です。今月は先日竣工した、「川口集合住宅」について、設計の谷内田章夫氏/ワークショップと野口信彦氏/タカギプランニングオフィスにお話を伺いました。

「川口集合住宅」はRC造、地上9階建てのオーナー住宅付賃貸住宅です。1階から7階までは各3戸の賃貸部分、8,9階がオーナーの2世帯住宅になっています。

野口:9階建てくらいになると、SRC造として鉄骨も入れる方法もあるのですが、きれいな形でバランスをとることで外観上も複雑でないものをデザインしてRC造にしました。またマンションが北側、西側に隣接しているので近隣になるべく迷惑をかけない形を想定しました。

谷内田:設計を行なうときには、いつもシンプルなものを目指し、敷地の特性を生かして最大限にどんなことが可能か、チャレンジしていくのが自分のスタイルです。

今回も日影規制を考慮して、横へのボリュームを減らし、敷地裏の北側のマンションからのセットバック分を高さでカバーすることになった結果、建物そのもののフォルムはすっきりと仕上がっています。通りをはさんで南側に建つサッポロビール川口工場の閉鎖が決まっており、再開発された場合を考えても余裕のある建て方をするだろうと考えられるので、そちら側に開口部を広く取る、ポテンシャルを生かした設計を行ないました。

―確かに西側は別のマンションがこちらに正面を向け、東側の通りに面した角地は今後大きなものが建設される可能性があるわけですが、互いに協調できる形として川口集合住宅は設計されています。それに比べて建物北側の建つ既存マンションの建て方は、こちら側にまとまったものが建つことは予測可能であったであろうに、ほとんどプライバシーを考慮していない設計になっています。

野口:下層階の賃貸部分については、1フロアにつき3戸、それぞれ特色を持たせています。端の2つが「角部屋」という利点をもっているので、真ん中の部屋には廊下の前に吹き抜けのスペースを設けて遮断された形をとりました。

谷内田:オーナー邸を上階に持ってきたのは、駅周辺にもかなり高い建物もあることから、眺望のよさとシンプルなディテールで、尚且つプライバシーも確保できる空間を提供したかったからです。

「余分なものを排除=内装を排除する」ため、打ち放しの仕様にしていますが、多少冬の寒さを緩和するために「床暖房」をつけています。夏は蓄冷効果があるためそのままでも十分ですが、滞在時間が短い単身者向け住宅なので、日中の影響をそのまま引き継ぐより、温度変化を一定に保ってあげられればいいですね。
壁クロスの手間は環境問題を考えても、賃貸では避けたいと考えます。天井も余計なものを取ることで、階高を取り、ボリューム感を出すことで開放感を得ています。

―建具については、谷内田先生はよくシナベニヤを利用されていますね。

谷内田:内装のシナベニヤについての利点は、
1. 飾らない、シンプルなイメージがでる。
2. 木目があることで汚れが目立たない。
3. 経年変化に強い-古さが出てこない
4. 性能的にフェアである。
5. 塗装品もあり安価である。

ということがあげられます。自宅にも使っていますが、「薄化粧」という感じで10年たっても変わらない印象があり、気に入っています。

―コンクリート打ち放しの建物については、どういう形で次世代へ引き継がせることになると考えますか。

谷内田:内装のスケルトン&インフィルは、意味のない手直しを避け、長持ちさせることをこだわることになります。設備を更新させる必要はいずれ出てくるし、手を加えること自体は重要です。しかしヨーロッパでは、塗装は普通住まい手が自分で行なうでしょう。しょっちゅう手をかけています。完璧な仕上げでなくていいのです。変化の余地を残す建物をつくっていくのもいいものです。しかし、汚れないように、長年の使用に耐えうる骨格のしっかりしているもの、揺るがないラインを最初に提供しておくのがいいですね。

建物の欠点は重箱の隅をつつけばきりがない、しかしそのようなものを圧倒してしかるべき存在感がそこにあればいいと思います。
コンクリートは材料を沢山使えません。その存在感が勝負です。躯体のいろいろな隙間、例えばベランダや廊下など、きれいに見せるための技術が必要です。

今回は、建物全体は野口さんと協議し、細かい部分を含め、野口さんにがんばっていただきましたが、非常に丁寧にできたと感じています。外壁のフォルムのまとめ方やコンクリートのスリットなど、野口さんの得意とするところは非常に参考になりました。

野口:マンションの名前は、オーナーが、「TREVENT(トレベント=3つの風)」 と命名されました。オーナー&ワークショップ&タカギプランニングオフィスの三位一体で、信頼できる建物づくりができたという気持ちが反映されています。いいコラボレートが出来たと思います。

―どうもありがとうございました。

 

構造:RC造
規模:地上9階
用途:共同住宅
設計:谷内田章夫/ワークショップ  +野口信彦/タカギプランニングオフィス
竣工:2003年10月22日
撮影:斎部功

43-2 ふたば調剤薬局(東京調剤センター)

撮影:編集部

五反田の駅から徒歩7分、池田山のNTT東日本 関 東病 院(旧関東逓信病 院)前に10月1日新しく調剤薬局がオープンしました。
関東病院の前は、5つの薬局がひしめいており、新しく進出するお店にとっては激戦区。差別化を図るため、正面玄関の2階部分に緑のディスプレイスペースを置き、薬局にありがちな堅苦しいイメージをやわらげています。
室内への直射日光を遮蔽するほか、訪れる患者さんへの癒し効果を高めます。吹き抜けの広々とした待合室の壁はやわらかい色合いのラフィットクロスを施し室内の空気を快適に保っています。

構造:鉄骨ALC造
地上2階
用途:店舗・事務所
設計:LDK ㈲
竣工:2003年8月28日