212-1 ないものを創る

2017年11月12日 at 1:21 AM
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「TIERS(荒川技研工業ショールーム) 」  撮影:平賀哲

 写真は、先日オープンした、表参道の「TIERS(荒川技研工業ショールーム)」です。10月16日から22日まで開催された、「DESIGNART 2017」では、4グループのアーティストの作品を、荒川技研工業のワイヤーシステムを用いて、新しい建築空間に展示しました。
期間中は、台風21号の影響で天気がすぐれなかったにも関わらず1000人以上の人が会場を訪れ、予想以上だったという社長の荒川創様にお話を伺いました。「今回は、ショールームを間借りしていた荒川クリニックの建物が老朽化したため、新たに独立したものを建てることにしたのですが、製品を単に展示するだけでなく、さまざまな使い方を提示して、ご覧いただける機会としました。(p4参照)

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荒川創 荒川技研工業株式会社代表取締役社長

もともと研究者だった父、荒川秀夫が『ないものを創る』を理念に立ち上げた会社です。今で言うベンチャー企業ですね。1975年に世界に先駆けてワイヤー金具の調整機構『ARAKAWAGRIP』を開発し、その後この技術を核とした用途製品を次々と生み出して販売事業を展開してきました」

 荒川技研工業のワイヤーシステム「ARAKAWAGRIP」は、展示物が1kg未満のごく軽量なものから100kg以上ある展示物まで、用途に合わせた幅広いラインナップがあります。ボールベアリングを利用していて、ワンタッチでレベル調整ができ、確実に安全にワイヤーを固定できる金具です。様々なパーツの中から適切な金具を選択し、応用することにより、世界に一つだけの空間演出が可能になります。売り上げの15-20%は輸出関連で、アメリカ、ヨーロッパ、アジアにも拠点を広げています。
アメリカのワシントン・ナショナルギャラリーや、ロシアのトレチャコフ美術館などの海外の美術館でも採用され、美術作品の展示だけでなく、ショップのディスプレイや大阪道頓堀のリバーウォーク、鹿児島空港展望デッキなど、 土木・建築の分野でもその利用の可能性を広げています。
「ないものを創るという点ではこれまでも自分達だけでなく、一緒に使う事を考えてくれるクリエーター、デザイナー、建築家といった人々と協働作業を行ってきました。新しく出来たものを提示すると、新たにそれを使いたいというお客様が現れる、という繰り返しで、今日まで来ました。ですから、そういうクリエーターの方たちと一緒に仕事をし続ける空間として、単なるショールーム、ギャラリーを超えた、ものづくりのベースを作りたいという思いがありました」と語る創氏。
長男ということで「親から会社を継ぐようにと言われたことは一切ない」とのことですが、もともと土木・河川の設計を5年ほど経験してからの入社です。さらに次男の均さんは機械メーカーで製品設計の経験の後、入社。そして1番下の真さんも、工作機械メーカーに勤められていましたが、2年前にやはり入社しました。「3人とも、5,6年、外の世界を見てきて、やっぱり会社の可能性を考えるとこちらがいいということになってしまいましたね」と笑顔の創氏。 クリエーター達のデザイン・発想力に応える、ご兄弟3人のさらなるものづくりの力が発揮されそうです。