220-1 発想の転換

2018年7月18日 at 12:33 AM
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「Peak Cottage」 撮影:阿野太一

 

写真は、2017年8月に竣工した北品川の住宅「Peak Cottage」です。庭の緑も揃いはじめて、やっとご紹介する機会を得ました。
大きなブリッジは傾斜地に建つ建物から、奥の高台へのアクセスとなっています。擁壁に負荷をかけないように片持ちで支えています。
敷地は、起伏のある土地の谷を南北に走る道路に面して、西側から東側に向かって高くなっており、3つのグランドレベルに分けられます。西側前面道路に面する地下1階は、ガレージとユーティリティ、少し上がって1階がエントランスとギャラリー、和室、そして2階はプライベートルームと浴室、3階は大きなリビング・ダイニング、というプランです。
設計のarchitectureWORKSHOPの北山恒氏は、地耐力を見ながら、フローティングの基礎の上に、地下1階から3層目の2階まではRC造、その上の4層目の3階は、木造、という構造を選択しました。
建物の素材は、打ち放しコンクリートや波板型ガラスの外壁、スチールフレームのブリッジやアルミサッシのテラスなど、インダストリアルな雰囲気で、室内の床もフレキシブルボードと、ハードな印象の住宅です。
そのため、うかつなことに私は今回ご案内いただくまで、設計を依頼されたオーナーの方はてっきり男性だとばかり思っておりました。が、子育ても終えられたゆとり世代の奥様でした。
千葉にご自宅もあるのですが、今回は都心でギャラリーやサロンなど自宅を開放して、いろいろな方との交流を楽しみ、お庭も自分好みの木々を植えられて、愛犬と好きな時間を過ごすためのセカンドハウスを建てられることにしたのです。
このような4層の建物では、下から上階に行くにしたがってプライベートな空間を設けるのがオーソドックスなプランです。そのため、当初2階をリビング・ダイニングとしていたそうですが、奥様が以前から気になっていた波板型ガラスを「こういうのも面白いですね」と設計の北山恒氏に伝えたところ、開放的な空間を求められている奥様の気持ちを感じ取った北山氏は、最上階に大きなリビング・ダイニングを持ってくるプランに変更されました。

「もし2階と3階が逆転していなかったら、外に開いた住宅にならなかったし、ブリッジもできていなかったと思います。千葉の家は吹き抜けもあり、その半分の敷地で、どれだけ開放的な空間ができるか、私の中でつじつまが合わなかったいろんなことを、北山先生がうまくリンクしてくださいました」と奥様。

3階のリビング・ダイニングはひとつながりの大きな空間となり、東側の妻から明るい光が差し込みます。2階のバスルームはガラス張りで、モザイクタイルの美しさが目を引きます。1階のギャラリーには、簡易宿泊できるシャワーや和室も用意されて、お友達がしばらく滞在することも可能です。ギャラリーから擁壁へ向かう出口に、庭を手入れするためのコンサバトリーも後から設置されました。
ギャラリーには、奥様が千葉で親交のある備前焼作家や墨絵作家の方の作品が展示されています。「Peak Cottage 」でのすてきな暮らしは、まさに始まったばかりです。今月号は、奥様のご案内で建物をご紹介してまいります。