224-1 街をつくる

2018年11月10日 at 7:40 AM
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kaede 撮影:上田宏

写真は8月お引渡しを終えた、中野区の集合住宅です。オーナーは地域に複数の集合住宅を建設されており、設計者との良好な関係で街並みづくりに尽力されています。
設計の田村芳夫先生への取材の折、「建設費の高騰による事業費の圧迫で、せっかく『良い建物を』とオーナーが言ってくださるにもかかわらず、採算が取れなくなってしまう状況が残念だ」とのお話をいただきました。
結局「コストを低く抑えるハウスメーカーと戦えない」ということでした。
確かに、基本性能を満たした工場生産のパネルで、工期を短く抑えられる建物は、設計者がデザインし、施工者の手数が入った建物に比べれば、簡単に建ってしまいます。
ハウスメーカーには、広告宣伝費、営業・管理部門の人件費、など建築に関係のない費用が薄く広く載せられており、建物にかけられている経費がどのくらいなのか、をよく見てみる必要があります。もちろん弊社もこのように広報をしておりますので、そのような費用がないとは言えません。
しかし、基本的に「何処に建っても同じ」というスタイルを日本全国で展開されるわけですから、ハウスメーカーのデザインだけでは満足できない方々もいらっしゃいます。そのような方々のために、建築家の先生方が、そして、その施工を行う者としての弊社の存在価値があるわけです。
建物の性能をよりよくする、あるいは、魅力的な新しい資材、設備を導入してみる、というのは、設計をする先生の常であり、そういうものづくりがなければ世の中進歩しないわけです。それにお応えするためにも施工会社も努力を重ねております。が、他の製造業の給与水準と比べると建設業界全体は、まだまだ低いようです。
昨今の建設費の高騰が作業労働者の高齢化など「人材不足」という理由からなら、やはり人件費などが上がってくるのは致し方ないのですが、東京オリンピックの特需も根本的な解決にはつながらないのですから、今後も建設費がすごく落ちる時期が到来するとは言えない状況のようです。
一方で、免震・耐震装置、という地震国日本ならではの設備に対して、先ごろまた事件が起きました。
装置メーカー、「KYB」で検査データの改ざんが引き継がれ、マンションや病院、教育施設など全都道府県の物件で不正が続き、2015年に表面化した東洋ゴム工業の免震偽装を規模で上回る、というニュースが流れました。
いろいろな対策を考慮されても莫大な費用が掛かるようです。
それにしても、最初にこのような装置を考えた人は、そんな運用を想像したでしょうか。関わった一部の人の想像力の欠如が、とんでもない結果を生み出してしまったということです。
222号でご紹介させていただいた「代々木の家」の建て主Y様が、関係者一同を招いて「ねぎらいの会」を開いてくださいました。
「良い建物を建ててもらった」というお客様からの感謝の言葉が、施工者の一番の喜びです。
ときにお叱りを受けようとも、そのことを大事に思っていることに嘘はなく、その後のメンテナンスに、関わったもの一同が長いことお付き合いをさせていただけるように、今日も頑張っています。
その場所にあった、環境に配慮した機能的な建物を建てていただき、魅力的な地域にするためのお手伝いを、弊社は今後も続けてまいります。