227-1 地域を支える医療療養病院

2019年2月12日 at 5:10 PM

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写真は、2期にわたる工事を終えて完成した世田谷区経堂の医療療養型病院「児玉経堂病院」です。
以前の建物は木造で、本館は大正10年、別館は戦後、新館は築40年とかなり古く、前々より行政から耐震構造並びに防火管理等の問題から改築するよう指摘を受けていたとのことでした。このたび竣工を迎えられることになりました。

母体は、結核患者のための隔離病棟でした。もともと荏原に本院があったのですが、戦争で焼けてこの経堂の地に移ってきたとのことです。
当時はまだ住宅も少なく、牧場もあったくらいの、のどかな環境でした。
しかし、戦後、周囲が住宅街になるにつれ、木造で古いこともあり「基本的には周辺へのイメージは良くなかった」と、児玉新生会理事の児玉慶隆氏は振り返ります。
昭和20年代まで、結核は日本人の死亡原因の第1位であり、その高い死亡率や感染力のために「不治の病」と恐れられていました。BCGワクチンの普及や生活水準の向上などによって、結核による死亡者・死亡率は激減しましたが、現在も毎年約18,000人が新たに結核を発症し、約1,900人が結核で亡くなっています。(政府広報オンラインから)
児玉経堂病院では、一部残っていた結核病床も6年前に廃止しました。
全館完成で医療療養病床109床、将来的には一般病床11床を加えて120床になる予定で、外来診療の充実、更にリハビリ室も広く設ける事で長期の入院が可能な医療療養型を主にした病院となっています。
「療養病床」とは、病院にある「一般病床」「療養病床」「精神病床」「感染症病床」「結核病床」という5種類の病床群の中の一つです。病気や加齢などで長期の休養を必要としている人が対象で、慢性病の人が充実した医療ケアを受けられるというメリットがあります。
「療養病床」には「介護療養病床」と「医療療養病床」があり、それぞれ「医療療養病床」では医療保険、「介護療養病床」の場合は介護保険が適応されてきましたが、厚生労働省は、2017年度末で「介護療養病床」を廃止しました。理由は「医療の必要性の高い患者と低い患者が同じ比率で混在する」という統計に基づき、介護療養病床に入院する医療措置の必要性の低い患者を介護施設にスライドさせるためです。公的資金の見直し、医療現場の要請などがあり、2011年までに導入と言われてきましたが、これまで延期されてきた経緯がありました。

「医療療養病床」の児玉経堂病院は今回の建替えにあたり医療法の標準仕様に準じて、以下のような必置施設を充実させています。
「一般病床」として、各科専門の診察室 ・手術室 ・処置室 ・臨床検査施設 ・エックス線装置 ・調剤所 ・給食施設 ・診療に関する諸記録 ・消毒施設 ・洗濯施設 ・消火用の機械又は器具。「療養病床」として、一般病床の必置施設に加え、 機能訓練室 ・談話室 ・食堂 ・浴室、を設置。また、病床面積は6.4㎡、廊下幅も1.8m(片側居室)と法令通り広くなりました。
工事をしている最中も、病院運営のため、半分の建物で上記の施設を維持するという計画で、非常階段は屋内で2方向設置が求められるため、仮の階段室を中庭に設け、竣工後解体が行われるという具合でした。
病院経営の面でもご苦労された工事が完了し、関係者の皆様は、新たな建物でのスタートに心を躍らせていらっしゃることでしょう。

(p3の座談会で児玉慶隆理事と設計の山内研氏、担当者油木啓裕氏に、工事を振り返っていただきました)