234-1 建築の不可能を可能に

2019年9月13日 at 5:20 PM
「ReBreath Hongo 2018」  撮影:Kenta Hasegawa

「ReBreath Hongo 2018」  撮影:Kenta Hasegawa

 

今月は、文京区で再生された4階建ての共同住宅をご紹介します。
「ReBreath Hongo 2018」は、築50年の旧耐震で既存不適格の共同住宅でした。耐震補強をしても開口が小さくなり、居住性が損なわれたり、法律の改正などで建て替えようとしても元のボリュームを維持できない建物なので改修をあきらめたという話はよく聞かれます。が、「建築の不可能を可能に」を合言葉に多くの建物の再生を手掛けている再生建築研究所は、今回、既存のボリュームを維持しながら、耐震補強も行い、既存建物が持つ南側の空地を活かすなど、専有面積を増やして不動産の価値をさらに向上させました。

過去に建てられた建物が、増改築、耐震補強などの課題を迎えた時に立ちはだかるのが、「検査済証」がないことです。工事が適法に終えられた、とういう証明書ですが、昔はその取得率はかなり低く、また建物所有者がきちんと保管していない、所有者がいろんな理由で変遷しその保管がわからなくなっている、などという例は少なくありません。

しかし、検査済証がないことで法的に認められずに改修工事の許可が下なかったり、銀行からの融資を受けることが出来なかったりして、放置されたまま古びていく既存建物の何と多い事でしょうか。建物自体は工夫すれば何とか住める、この場所にずっと住み続けたいという人たちがいる。そんな思いを救い、既存ストックの活用に積極的に取り組んできた「再生建築研究所」の神本豊秋氏。昨年移転した、神宮前の事務所「ミナガワビレッジ」は、1敷地に4建物が建つ築60年の違反建築物でしたが、図面を起こし直し、耐震設計を見直し、60年ぶりに「検査済証」を取り直しました。豊かな緑の庭を残し、環境設計も見直して快適な建物を再生、入居、運営も行っています。

「ReBreath Hongo 2018」では、耐震改修などのほか、建物の省エネ化を進めるため、全体で1次エネルギーの消費を約45%削減するという環境設計が行われました。

現在、世界では異常気象が各地で頻発しており、2020年以降の温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の結果を受け、国内では2030年度までに温室効果ガスの削減目標を-26%とすることが設定されています。
住宅の省エネ性能を評価する際の基準には、2つあります。
①外皮性能を評価する基準(屋根や天井、外壁、床、窓など建物の外側の部分)
②1次エネルギー消費量(エアコンや照明、換気、給湯など、生活をするのに必要なエネルギーのこと)
基準値は地域ごとに定められて、その基準値以下を目指すことが必要となります。今回の改修工事は、改修でありながら国の定める省エネ基準以上の環境性能を有しています。日本は欧米に比べて、建物の評価に環境性能も加える意識がまだまだ低いと言われています。リノベーションが多く行われる中で、もっとその意識を全体で高めていけるようになることも必要だと思われます。

%e7%b4%a0%e6%9d%904