153-1 家電

2013年4月16日 at 10:04 PM

同居する親世帯の洗濯機が壊れました。新しく買い換えようとしたところ、間口が50cm台という小さいものは少なく、中国製と日本製のメーカー1社のどちらかという選択になってしまいました。家電量販店では、いまやドラム式の高機能の大型洗濯機が主流です。しかし、使い慣れた操作の同じようなものが母の希望です。ドイツなどの家電メーカーでは、昔から長寿命商品を手がけており、修理、部品交換、機器の寸法も変えずに、顧客サービスを行なっているところもあります。日本では、家電は、家族構成や性能、メーカーの再編成により、機種が更新・変更されてきました。そして、ここに来て大きな動きとなっているのは「節電」に必要な「消費電力の見える化」が進められていることでしょう。

今年は、スマートフォンやタブレット型PCなどで、家電を外部から制御する機能を持つ「スマホ家電」が注目を浴びています。エアコン、冷蔵庫、洗濯機、体重計(体組成計)、歩数計(活動量計)、血圧計など、大手メーカーでは主力製品に便利な機能を加えて、新たな家電の需要を見込んでいます。
それでも、実際に通信を行なう物理的な線の配置や無線の接続先となるシステムについては、まだまだ発展途上のようです。またエアコンなど、家電の安全性に配慮した法律に許可されていない機能があって一口に「スマホ家電」と言ってももどかしい状況もあるようです。しかし、将来に向けて開発が進むことは確実です。現在の電気設備だけを想定した建物づくりを続けることは、はなはだ難しい状況です。

今月ご紹介する「Modelia Brut YOYOGI UEHARA」は、ライフスタイルにこだわりのある顧客層を対象にした、デザイン性のある集合住宅です(2012年グッドデザイン賞受賞)が、今回は設計にあたり、必要な収支計画を踏まえた上で、さらに積極的に「余分な設備は持たない建物」というコンセプトに至ったそうです。
「外壁緑化や屋上太陽光パネルなどは、ある意味一定の負荷が生ずるもの。それに対して、極限まで設備を排除するという省エネの選択もありうるということを示したかった」と設計の木下道郎氏。常日頃、賃貸集合住宅においては、不要なものは排除して住まい手に提供したいと考えていらっしゃるそうです。
「今回、キッチンにコンロを設置しなかったのも、事務所として使うなら、電気ポットがあればいいわけですね。一方、AEGやamadanaなど、デザイン、機能に優れたものを求める成熟した個人も増えていて、あえて廉価なものを入れる予算は取らない方がいいと考えました」とのことです。サービスバルコニーを設けてエアコンを設置するという、販売上最低限の要請は実施されましたが、エアコンもアトピーの人ためのものや、自動的に掃除を内部で行なうもの、インバーターなどの省エネ装置のついたものなど多様な種類があり、家電量販店に行けば、リーズナブルな価格で取り付け工事まで行なってくれます。入居者が自分の好みのものを購入したいのであればその方がいいのでしょうが、逆に退去時の処分の問題もあるかもしれません。

「電気を飛ばして家電がコントロールされるという感覚を持ち、建物そのものをわかっていないとその設備も陳腐化する恐れがあります。このことを意識しつつ、良質な室内環境を近未来に渡って提供することが、消費者にとって実はありがたい集合住宅であることが、もっと認識されるべきでしょう。何もかもコストで営業して、日本中同じ賃貸集合住宅が建つようではつまらない街になっていくと思いますね」と木下氏。コムラエージェンシーとのコラボレーションで、また一つ新たなスケルトン&インフィルのスタイルを提示されました。