149-1 家族

2013年4月12日 at 4:08 PM

今月は、新宿区百人町の、間口7m x 奥行き8m の狭小敷地に建った、建築家の自宅です。
区内で奥様の実家に同居されていた建て主は、お子様の成長もあり、独立しようと家探しを開始されました。共働きなので、なるべく親の家には近いほうがいい―しかし、都心のマンションとなると、新築はかなりの金額、中古マンションのリノベーションも思ったよりコストがかかるもの。小さな土地に小さな家を建てることも視野に入れはじめたそんなある日、朝のジョギングで建て主は近所に小さな売地を見つけます。
調べると、戦後に復興住宅としての長屋が建ち、その後民間に区画分譲された住宅地。1990年代には不燃化促進事業で等価交換により周囲の分譲マンションへの移転が促進され、歯抜けになった土地が新たにポケットパークや街路として整備され、子供たちの遊び場、高齢者の休憩場所として機能しています。復興長屋で子供時代を過ごした方が現在も多く住んでおり、そのためか、路地を挟んだバルコニー越しの会話や井戸端会議が見られたりと昔ながらのコミュニティが残っています。周囲には病院や学校、都営住宅が建つ大きな街区に囲まれていて通過交通もなく、静かな環境。 愛着の持てそうな街であり、都心としては子育てに申し分ない環境と考えた建て主は、自分の設計で一戸建てを建てることにしました。設計者としての工夫がいろいろなところに見られる、小さいながらもゆったりとした空間を内包する住宅が、完成しました。
昨年の震災以来、「家族の時間を大切にする」、「廻りの人々とのコミュニケーションを大事にする」重要性が大きく見直されています。これまではプライバシーを尊重するあまり、他人とはかかわらない、必要以上にコミュニケーションを取らない、という風潮が蔓延していたかもしれません。

特に子供の「いじめ」の問題が各地で顕在化し、学校への信頼がゆらいでいます。子供たちの教育環境に不安を覚える親は少なくありません。何とか被害者にならないようにと願います。国も具体的な対策を採り始めました。これまでは「いじめられる側にも問題がある」などと済ませていたこともありました。しかし、加害者は「いじめを傍観したもの」にも深い心の傷を負わせます。「いじめる」子供には、親、家庭に問題があるように思われます。そんな家庭に、誰もしたくはありません。
わが子が被害者にも加害者にもならないために、多くの識者が「最後は『家族は絶対に子供の味方だ』ということを忘れさせないことが大事だ」と述べています。
家族は長い年月をかけて努力しながら、その関係を培っていくものです。複数の家族が新たな家族となり、また分散する。ときには血がつながっていなくても、家族同様の存在の人もいます。関係をつくるのに苦労すれば、その甲斐があるというもの。 誰にも、どんなときにも自分を支えてくれる、そんな存在が一人は必要です。