118-1 ワーク・シェアリング

2013年3月13日 at 4:00 PM

テラス下目黒  撮影:藤塚光政

 新年あけましておめでとうございます。今年も Shin Club をよろしくお願いします。
さて新年は、まず、居住者間のコミュニケーションを図るという目的で作られたランダムバルコニーが楽しい、コーポラティブハウスです。
コーポラティブという形式は、1 世帯ずつ設計していくと、かなりその仕事の密度は高く、ひとつの設計事務所だけではハードな作業になりがちです。そのため、今回スケルトン設計を手がけた室伏次郎氏のスタジオ・アルテックでは、各住戸のインフィルについては事務所出身者の設計事務所に助力を求めました。
「設計者として気心が知れたチームであり、必要に応じ、互いの経験を踏まえながら、柔軟に仕事ができた」と室伏氏は振り返ります。マンションの新規受注が減っていくなか、アトリエのあり方としてチームで仕事を分担していくのは「ワーク・シェアリング」という観点からも効率的なシステムです。そして、その中でコーポラティブという形式はとても有効に機能すると室伏さんは言います。
社会全体での仕事量が減っていく場合に、互いに仕事を分け合い、労働時間を増やさないで失業者を減らすという「ワーク・シェアリング」の考え方が薦められています。マイナスイメージで捉えるのではなく、残業時間の短縮や労働日数の軽減によって生まれる自己啓発や、余暇の活用によって、精神的な余裕や生活への満足度が生まれ、特に子育てや介護などに多忙な世代にとっては、働き方を見直す良い機会にもなります。
1つの組織でワーク・シェアリングができるように仕事を考え出すとき、まずしなくてはならないのが、無駄な作業を省くということです。まさに、昨年末話題になった事業仕分けがこれに当たるわけでしょう。いつもの仕事の中に、必要のない作業がどれだけあるか、やらないで済む作業を点検して勇気を出してやめるのは難しいことです。その次に業務マニュアルを作成して、個々の仕事の分配を図ることになります。が、マニュアルは頭の中が整理されていないと作れません。作ってみると総じてわかりにくく、実際に引き継いだ人が役に立つように作るには、作業を想定したそれなりのテクニックが必要です。
建築施工の世界では、ワーク・シェアリングはすでに専門業者により、昔から行われていることと言ってもいいのかもしれません。ただし、職人と呼ばれる人の世界はマニュアルによって一朝一夕に分業できるものではありません。「習うより慣れろ、技は盗め」の暗黙の知の世界で、仕事の内容は個人の力量にかかってきて、後継者は長い間のうちに、いつの間にか仕事を覚えて一人前になるというものです。でもこれはどの仕事にも通じるものでしょう。
結局ワーク・シェアリングの実現には、仕事への愛情と自信、引き継ぐ世代への責任感がベースにないと難しいものです。でもそれを出来るかどうかが、人生の先輩としての役目だと感じます。