163-1 東京オリンピック

2013年10月11日 at 3:36 PM

2013年10月号

 

写真は、2012年春、竣工した神宮前の広告関係の会社のオフィスです。このたび撮影が終わり、ご紹介できるようになりました。隣に建つ建物も弊社施工です。神宮前では、けやき並木の大通りに「表参道けやきビル」も完成となりました。

今月のフロントラインでは、「けやきビル」の施工のためのCG製作を行った、渡辺健児さんに登場いただきました。渡辺さんは、ロンドンオリンピックのメインスタジアムのCG製作でも知られており、帰国後、多くの設計事務所と協働作業をされています。

さてそのオリンピックですが、2020年、再び東京で行われることが決定しました。1964 年、まだ幼かった筆者は、開会式のときに東京の空に五輪の飛行機雲が描かれるのを窓から見て、感動した思い出があります。 当時は、高速道路がどんどん整備され、立派な体育館ができ、ビルも建設されて、「日本はこれから素晴らしい国になるのだ」という気運が、そこここにあふれていた気がします。
甲州街道で裸足のアベベや円谷選手に旗を振って応援し、三宅選手の重量挙げに思わず力が入ったという大人は少なくないことでしょう。優勝した女子のバレーボールは、「ママさんバレー」という「主婦もスポーツしたっていいじゃないか」という文化を生み出しました。子供や学生だけでなく社会人も参加し、技術、体力を競い合い、さらに一流選手はプロとしての活躍ができる土壌が作られ、日本でもスポーツが人々の生活に欠かせないものとして発展するきっかけになりました。
このたびの開催決定に際しては、自分たちの子供や孫世代にも、あの感動をぜひ味あわせてやりたいものだと思いました。

しかし、今回は当時に比べて、ただ前向きになるにはあまりにも厳しい条件があります。未解決な原発問題や予想される災害への備え、そして東京一極集中への地方の批判など、より問題は複雑になっています。招致反対の声も少なくありませんでした。
ある期限への目標設定を設けられたことは、確かに震災以来、よりどころのない不安を抱えていた日本全体の気分を変えました。でも課題解決にはより努力が必要で、世界一流のアスリートたちを迎える私たち日本人に新たに大きな責任が生まれました。

9月末、好評のうちにNHKの朝のテレビドラマ「あまちゃん」が終了しました。東北地方の架空の一都市、北三陸市を舞台に、アイドルを目指す主人公とその周囲の人たちを描いたドラマは、多くの日本人の心を捉えました。その中で、震災後「なんか申し訳なくてやる気になれなくて」という女優、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)に対して、主人公の母、天野春子(小泉今日子)が言ったセリフが忘れられません。
「東北の人間が働けって、言ってるんです!」
祖母、夏ばっぱ(宮本信子)の「おがまいなぐ(お構いなく)」という返事も聞こえてきそうですが、働かせていただかなきゃなりませんね。