164-1 発泡スチロール

2013年11月12日 at 7:05 PM

2013年⒒月号 

LOP 撮影:篠沢裕

今月ご紹介する「LOP」は杉並区の小さな集合住宅です。コンクリート打ち放しの部屋は、板の間と土間が用意されていて、入居する方が自由に住まい方を楽しめるようになっています。写真の部屋はロフトが設けられ、ハイサイドライトが明るさと広さを加えています。

「Frontline」では、「表参道けやきビル」で特殊型枠の製作に協力いただいた発泡スチロールメーカー、旭化成株式会社の梶徹也社長にお話を聞きました。
私たちの毎日の暮らしの中で欠かせないのが発泡スチロール。原料のビーズを約50倍に発泡させて作る、ほとんどが空気という素材です。日本では出荷量の約6割が魚介類や農産物の保存箱です。そのほか家電製品の緩衝材・部材などが約3割、海外ではもとも使われている建材分野では約1割となっています。
しかし、ひとたび廃棄されるとなったら、嵩張るためその処理に困ったことはありませんか。「燃えるもの」、「燃えないもの」、「廃プラスチックとしての資源ごみ」など自治体により処理方法が異なります。基本的には、2000年4月より「容器包装リサイクル法」の対象となり「その他のプラスチック製容器包装」として分別回収・再商品化が義務づけられています。
発泡スチロールは基本的には炭素と水素だけなので、燃やすと炭酸ガスと水になるだけですが、不完全燃焼を起こすとススが出やすく、家庭で燃やす処理はお勧めではありません。完全燃焼すれば、ダイオキシンなどの有毒ガスは発生しませんし、発泡剤にフロンは使用されていません。
発泡スチロールのリサイクル方法は大きく分けて3つあります。まず粉砕して建材・土木製品にしたり、熱や溶剤で溶かしたり圧縮したりして、嵩を減らす「マテリアルリサイクル」。インゴット(ポリスチレンの塊)や再生ペレットになって再利用されます。インゴットはほとんどが中国など東南アジアの国々に輸出され、そこで文房具などの日用品、合成木材などに再商品化されます。 「ケミカルリサイクル」は、容積を減らさず、直接、高炉還元(鉄を作る高炉でコークスの代用)したり、油化、ガス化、コークス炉の原料にされたりするものです。「サーマルリサイクル」は、固形燃料(RPF・RDF)として発電に利用されたり、新たに発泡スチロールを成形するときの熱源として再利用されています。
さらに発泡スチロールを原料のビーズ(リサイクルビーズ)に再生し、家電製品の緩衝材として利用する完全循環型リサイクル(EPS to EPS)の実用化が拡大しているとのことです。
「けやきビル」では使い終わった発泡スチロールの一部を、オレンジを原料とする溶剤で溶かして、回収しました。15分の1から100分の1まで減容する効果があるというものですが、容器が小さくあまり効果的ではありませんでした。せっかくリサイクル技術が進歩しているのですから、廃棄部分の仕組みを業界全体でもっと工夫しなくてはならないと梶氏。
「世界に流通する商材だから、他国の環境問題と放置するのではなく、協会では『世界EPS同盟』をつくり、国際リサイクル協定を結んでいます。発泡スチロールは嵩張るけど害じゃないというところまでは来ましたね」と振り返っていました。