165-1 ノブレス・オブリージュ

2013年12月20日 at 3:13 PM

 

「Common Garden 原宿 北参道 500」撮影 :アック東京

今月は、千駄ヶ谷に建った新しいテナントビルのご紹介です。写真は最上階の賃貸住戸でメゾネットタイプの開放感あふれるスペースです。このほかに1階、地下1階が店舗、2階が事務所、3-4階も賃貸住戸となっています。その中の1室を建て主様の支援する「ふるさと東京ユネスコ協会」が事務所として使用することになっています。

建て主のK様は会社経営のかたわら、1974年より福島県大沼郡三島町に都会の子供たちを招待し、自然とのふれあいを体験させる「緑のふるさと学園」を有志と創設し、子供たちの田舎体験学習を始められました。1980年には、その経験を活かし、地方と都市文化の交流を目的に「ふるさと東京ユネスコ協会」として、東京都ユネスコ連絡協議会に加盟し、活動の範囲はさらに広がりました。
もともとヨーロッパで仕事をされていたK様。イギリスでは夏休みになると子供たちが親元を離れて、山や高原で自然と親しむサマーキャンプが子供たちの情操教育に効果を上げていることを知り、帰国後、日本でもぜひ実践したいと考えました。高度経済成長期の真っただ中の日本が、拝金主義、過度の学歴主義に進んでは大変なことになると感じられたのです。
一方、「ふるさと東京ユネスコ協会」の現会長、荻野三千雄氏は、過疎に悩む奥会津の山村、三島町で村おこしの企画に取り組んでいましたが、プランを持ったK様と出会い、当時の町長など行政全体の協力体制のもと、前述の「緑のふるさと学園」の創設に参加されました。当時の出会い、人々の情熱を思うと、今でも胸が熱くなると言います。
子供たちのキャンプや交流事業のほか、ヨーロッパで活躍する音楽家たちを三島町に迎えてコンサートを行うなど、地域のお寺や農家の方々も巻き込んで、都会と地方の文化交流がどんどん行われるようになりました。八丈島の人々にもご縁ができて、東京、三島町、八丈島の3つの支部で合わせて一時は90人近い会員を数えるまでになりました(現在は八丈島、三島支部は停止)。地方の町おこしは今も日本中で大きな課題ですが、40年も前に時代を先取りし、活動を実践されてきた皆様でした。

ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)とは、諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関です。12月4日、日本の「和食、 日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形遺産に登録されたニュースをご存じの方もいらっしゃることでしょう。「無形遺産」や「世界遺産」などの「文化の多様性の保護」と「万人のための基礎教育」を重点目標に掲げています。
実は日本は1947年に世界に先駆けて仙台で民間ユネスコ活動が始まった国であり、現在、全国で約300のユネスコ協会等の組織があります。公益社団法人日本ユネスコ協会連盟が、これらの各地ユネスコ協会等の構成機関を束ね、文部科学省や外務省、ユネスコ本部等との連携を促進しています。例えばユネスコの「世界寺小屋運動」は、世界各地の、教育機会のなかった成人や、学校に行けない子供たちに学びの場を提供し、地域発展を支える人材の育成を目的として、1990年の国際識字年をきっかけに始められました。「ふるさと東京ユネスコ協会」でも、昨年よりミャンマーの子供たちへの支援を行っています。

昔の日本では、名君と呼ばれる殿様や、志の高い商人が、恵まれない環境の人々にも目を向け、徳を施していました。イギリスでは伝統的に、貴族や資産家にそのような義務が当たり前のように存在します。
セレブリティとは、本来そういうものだと改めて思いました。