175-1 駅前広場

2014年10月14日 at 3:51 PM

写真の建物は、石神井公園駅前に建ったテナントビルです。石神井公園駅は現在、南口広場の道路拡張工事、ロータリーの整備などが行われています。
鉄道が引かれて、地域が次第に発展していく途上では、駅舎がその町の主役でした。昭和の匂いのするレトロ感あふれる東京駅や、小さなところでは今も残っている原宿駅などはその代表でしょう。改札で駅員さんに切符を切ってもらい、(キザミを入れるテクニックにおどろいたものです)、階段を上り下りし、ホームに降り立ち、列車を待つ。鉄道ファンならずとも、昔はそれだけでも良かった気がします。しかし、鉄道は街を二分しました。駅のあちらとこちら側を行ったり来たりするのは、基本的に駅舎を通らない限り、踏切や地下道、高架橋を通ることになります。長い踏切は、特に高齢者や子供たち、障害者には危険なものです。朝夕のラッシュ時の「あかずの踏切」による交通渋滞は、地域の住民を悩ませてきました。が、それも最近はどんどん高架線化が進み、渋滞も解消されて環境にも良い効果を上げていると聞きます。駅舎の建物は、機能的なものに生まれ変わり、上下の移動も加わり、大きな駅では重層的な空間計画の工事が長い時間をかけて行われています。
さて 踏切と同じく駅に向かう人々を悩ませるのが、放置自転車です。今回、久しぶりに訪れた石神井公園駅前では、駅周辺の道路や歩道に置きっぱなしの自転車はほとんどなくなっていました。放置自転車監視員の方たちが常に見回っています。駅前の掲示板を見ると、駅から600m圏内の放置自転車、放置オートバイはすぐに撤去され、その引き取り費用が、それぞれ4000円、7000円というかなり高額の設定になっていました。それだけの金額で初めて効果が出るというものでしょう。駅のビルの中には、合わせて1500台収容の自転車置き場が数か所あり、周辺にも7か所の公営の駐輪場があります。自転車を駅前に入らせない、という対策が徹底しています。周辺住民の方々の努力の賜物でしょう。
新しくなった北口は歩道も広く、バス・ロータリーへのバリアフリー化が進んでいるのがよくわかります。

さまざまなインフラの問題が解決された後の駅前広場には、より街を印象付ける景観がほしくなります。季節を感じさせる植栽や水を使った演出でくつろげるスペースがあれば、環境の良さが人々をひきつけます。ここ数年の経験で、有事の際、人々がとどまることができるある程度広いスペースが必要だということもわかってきました。さらなる土地の確保は、街が発展してしまった今となっては簡単にはいきませんが、歩行者の流れとか滞留性を鑑み、周囲に視線をより意識したデザインが施された建物ができれば、時間がそれに重みを与えてくれます。

考えてみると、広場は街路をつなぐ場所でもあることに気が付きます。街路にもいろいろなデザインのものが思い浮かべられます。雪よけ、雨よけに雁木を連ねた東北の伝統的な街並、天幕がかけられた南の地方の市場、パリのパサージュのように屋根や舗道が作りこまれているアーケードなど。学生運動が盛んな頃、集会のメッカだった新宿西口広場は、「通路」であるとされて、集会の取り締まりを行えるようにされたという笑えない話もありました。

人が通り抜け、人が溜まる、その2つの要素を兼ね備えた有機的な存在としての「駅前広場」―我が町の駅を改めて見つめなおしてみてはいかがでしょう。