186-01 希望

2015年9月19日 at 10:49 AM

「更生保護法人善隣厚生会」  撮影:浅川敏

『ショーシャンクの空に』というアメリカ映画があります。主人公アンディが、妻殺しの冤罪で刑務所に入れられ、看守に暴力を受けたり、悪徳署長の不正を手伝わされたり、と過酷な状況にありながら、刑務所内の環境を改善し、最後には脱獄して自分の人生を取り戻す話です。映画の中で、図書係の老人が50年の刑期を終えて、出所する場面を思い出しました。高齢、貧困、友達は刑務所の中にしかおらず、仕事はろくにできない。絶望した彼は、“BROOKS WAS HERE”‘ 「ブルックスここにあり」という言葉を残して自殺してしまいます。
これは映画の中の話ですが、実際、罪を犯した人が再び社会へ出て自立するためには適切な支援が欠かせません。再犯を起こさせないためにも必要なことです。これを「更生保護」と呼んでいます。

法務省のHPによると、行政の組織では「法務省保護局」の下に、「地方更生保護委員会」、「保護観察庁」というものがあり、なかでも「保護観察庁」は各地方裁判所の管轄区域ごとに全国50か所に置かれ、更生保護の第一線の実施機関としていろいろな機能を果たしています。
一方、日本の近代の「更生保護」は民間の篤志家の活力によって開かれたものであり、それは現在も、保護司制度や、更生保護法人、更生保護女性会、BBS(Big Brothers and Sisters Movement=問題を抱えた少年少女たちと年齢の近いお兄さん、お姉さんとしてサポートする若者の運動)といった、多数の民間団体に脈々と引き継がれています。
日本では、このような組織の官民一体となった協働により「更生保護」は行われてきたのです。

更生保護施設は矯正施設を退所したものの、住所や就職先がすぐには見つからない、支援の必要な人を一定期間引き受ける施設です。現在、全国に103施設あり、全て民間の非営利団体によって運営されています。うち100施設は、法務大臣の認可を受けて更生保護事業を営む更生保護法人、その他3施設は、社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人によって運営されています。

写真の「更生保護法人善隣厚生会」はそんな保護施設の一つです。李秀夫理事長によると、ほとんどの施設は都心にあり、また地方の保護対象者も、地方で就職先を見つけるのが困難なため、結局、仕事のある都心の施設への申込が多いということです。
以前建っていた建物はそのような支援施設でありながら、やはり年代を感じさせる少し閉鎖的な部分もあり、今回建物を設計した林康弘氏は、「新たな気持ちで社会に出ていく人の、夢や希望を応援するような、開かれた建物にしたいと思った」と語りました。

「更生保護」における犯罪予防活動は、それぞれの地域において保護司を始めとする更生保護ボランティアを中心に、地方自治体や地域の関係機関等と連携して進められています。
法務局が主唱し、今年で65回目を迎える「社会を明るくする運動~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~」はもともと、銀座の商店街が始められた運動でした。
また、刑務所出所者等をその事情を理解した上で雇用し、改善更生に協力する民間の事業主、「協力雇用主」という制度には、いろいろと国の支援も用意されています。

夏休みの中学生2人が犠牲となった痛ましい事件は、容疑者が「再犯」という可能性が出ています。子供の見守り、そして社会復帰を目指す人への支援、それぞれ、皆で考えたい問題ではないでしょうか。