194-1 熊本地震

2016年5月17日 at 4:01 PM

アットホーム本社ビル 撮影:アック東京

このたびの「平成28年熊本地震」により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と一刻も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

写真は、昨年の冬、竣工した不動産情報会社「アットホーム」の本社ビルです。赤いつなぎを着たお笑いコンビ「さまーず」の二人とロボットが出てくる広告をご記憶の方もいらっしゃるでしょう。加盟している不動産会社は、全国5万3000店以上。日々送られてくる各店舗からの不動産情報をユーザーに提供しています。インターネット上の充実したサイトもありますが、実際の店舗に印刷物も発送しており、事務所と工場が一体となって24時間稼働しています。築40年を超えていた建物は、東日本大震災もあったため、このたび耐震性に配慮した新たな建物に建替えられました。

設計を担当された「建築集団フリー」様に、竣工から少し遅れて取材をする機会を得たのですが、その6日前に熊本であの震度7の地震が起こりました。2日後の未明には、さらに本震とみられる大きな地震が起き、余震は5月に入ってからも続いています。
取材では、「建築集団フリー」の上村健太郎設計チーフが熊本出身ということもあり、「災害時の拠点となるべき建物が、いくつか使用不能になったことは本当に残念だ」と振り返られ、また「余震がこのように続くのであれば、地震係数や建築基準法のあり方を考え直さないといけないのではないか」と所長の三木俊治氏も「安全第一」を強調しておられました。
現地では余震が続くことで建物の中が不安なため、車中で過ごしている人も少なくなく、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)になる方も出ています。道路や水道などインフラはまだまだ大変な状況ですが、避難所生活をされている人々には、いろいろな支援が入るようになってきています。
今回の地震で倒壊した建物は旧耐震基準のものが多いのですが、一方、新耐震基準でも倒壊した建物があり、残念なのは1度目の地震で命が助かったものの、自宅に戻り、2度目に来た大きな地震で亡くなった方がいるということです。覚えておかなくてはならないのは、新しい基準法で改正されたのは、以下のような点だったということです。
■頻繁に起こる大きさの地震(震度5クラス)に対しては建物の構造に損害がないようにする
■滅多に起こらないが大きな地震(震度6-7)に対しては、致命的な損害を回避し、人命を保護するようにする
つまり、現実的な耐震基準とするために、第一波でとりあえず命は助かるような建物にすることであり、その後、連続して起きてくる地震については保証の限りではないというものだったのです。
私たちは、今回の地震で震度7クラスの地震が頻発する時代に入ってしまったことを再認識させられました。だからと言ってあきらめることはありません。現状でできることをしっかりやっておくことが大事です。「地震により強く」という条件を、もっとデザインや機能に盛り込んだ建築や仕組みに取り組み、改修が必要であればスピードを上げることが肝心です。

写真のビルでは、白い外壁は、熊本に本社がある「日丸産業株式会社」の『ファインウォール・デコ』というものを使用しています。銀座の新しい歌舞伎座の外壁と同じものです。東日本大震災の建物外壁のクラック補修にもやはり「日丸産業株式会社」の、『ジョイント・V』という工法が使われていたので、今回の熊本でも補修にも使われるでことしょう(上村氏)
内閣府の資料によると、西日本の太平洋沿いの「南海トラフ地震」が30年以内にマグニチュード(M)8-9クラスで発生する確率は約70%、「首都直下地震」で南関東域に30年以内にM7クラスが発生する確率も約70%となっています。まず、現在建っている建物を安全な基準に対応させることが急がれます。