197-1 ミニマリズムとポケモンGO

2016年8月10日 at 8:58 PM

写真は、この春に完成した賃貸併用住宅です。建物南側に開かれた大きなテラスから、目黒川の桜を一望できます。設計者の小川晋一氏は、広島を拠点に活動をスタートされ、東京にも進出、新宿副都心の高層タワーの上層階に事務所を設けておられます。現在は、週の前半は東京事務所で関東近郊のお仕事を。木曜と金曜は長年教鞭を取られている近畿大学工学部のある広島へ。そして土日は名古屋や関西、その他の地域に赴き、お客様と打ち合わせを行う日々とのことです。
 そのシンプルでミニマルな設計に対しては海外からの設計依頼も多く、特にタイのカオヤイに建つ「150M WEEKEND HOUSE」は、幅11m、長さ150mのスラブに挟まれた「今世紀最長の家」と言われています。天井高6mのフォーマルリビング、大きなジャグジールームやフィットネスルーム、そして専用のバスルーム・リビングルーム・ベッドルームを持つ個室が、一直線に入っています。どの部屋からも国立公園の山々の景色を楽しめて、屋上デッキに設けられた40mのプールは、まるで空に浮かぶビーチのようです。

このように、豪邸というべき別荘や海沿いの住宅などの設計が多い小川氏ですが、著作物やインターネットで設計手法が広く認知されることになった点も前向きに分析されています。昨年出版された作品集、『ミニマルイズマキシマル』の売り上げは予想以上とのことで、建築関係者だけでなく、一般消費者の方の購入が増えている点もこれまでにない動きだと感じられているようです。写真のクォリティの高さもさることながら、やはりニーズがそこにある、と思います。

 

モノから開放された、極限までシンプルな暮らしを実践するミニマリストを志向する人は、ここ数年増えているようです。電子書籍にすれば、本棚の大量の本は不要となり、買い物もWEB上から注文すれば、時間が節約できる上、次の日には自宅に配達されるのでストックを余分に抱え込む必要もありません。IT技術の進歩で得られた便利な暮らしを享受する人々。そんな人たちが住みたいとあこがれる究極の家は、「余計なものを置かない、緊張感のある、管理しやすくて、それでいて良好な外部環境を取り込める大きな空間」に必然的になっていくのではないでしょうか。

7月22日、ご存知の通り、アメリカなどで先行配信されて大人気だったスマホのゲームアプリ「ポケモンGO」の配信が日本でも始まりました。GPS機能を利用して、スマホ画面を通して現実の場所に現れる、お馴染みポケモンのキャラクターを捕まえていくゲームです。
実際に出歩いてキャラクターを探さなくてはならないため、これまで家で引きこもっていた人たちが一斉に外に出てきたというウソのような話や、キャラクターを捕まえるアイテムを得る「ポケット」や「ジム」に設定されたマクドナルドでは、大量の顧客が戻ってきたという声が聞かれました。

 

一方で、駅近くや繁華街でスマホ画面ばかり見ながら歩き回る人が数多くみられ、交通事故や不法侵入、他人にぶつかるなどの迷惑行為が問題になっています。

マイナスばかりではありません。とりあえず近所を歩き回ることから始めた人が、「自分の住んでいる地域にこんな名所、スポットがあったのか」と新たな発見をするなど、これまで興味を持たれなかった地域への認識が高まることも予想されます。

 バーチャルな世界の出来事で現実の人間を動かす画期的な仕組みは、どのような可能性を秘めているのでしょうか。これからも目が離せません。