205-1 若い世代こそ和空間

2017年4月11日 at 1:59 AM
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「八芳マンション」撮影:千葉顕弥/KENYA CHIBA PHOTOGRAPHY

写真はこの度、スカイツリーの近くに建ち上がった賃貸マンションです。
オーナーのYさんは、10数年前、自宅ビルを建てる際、近くでT社の工事現場を見て、現場監督に「自社ビルをぜひ施工してほしい」と依頼しました。個人住宅はあまり手掛けないT社でしたが、Yさんの熱意に受注することになりました。地上5階建てのRC造のビルは、濃い色のタイル張りの現代的な外観です。

もともと木造も得意とされていた設計の太田耕司氏は、上層階のご自宅部分には、高齢のお母さまのことを考え、以前の建物のプラン、内装のレイアウトを変更しないで、格子の天井、床柱、漆喰の壁などの和の部分を活かした内装設計を行いました。
今回の「八芳マンション」も、やはり太田氏の設計ですが、Yさんは近くで辰の施工で昨年竣工した、「浜田製作所本社ビル」の工事をご覧になられて施工をご用命くださいました。
建物は地上3階建て、建物の裏にも出入口があります。なぜでしょう?答えはp2をご覧下さい。

 「自宅に和空間が1つあるといいですよ」と木造建築の設計も多く手掛ける太田氏。確かに、畳の暮らしは落ち着きます。布団の上げ下げが苦でなければ、部屋も多用途に使いこなせますし、低い目線が天井までの空間を広く感じさせ、何しろ障子やふすまの引戸、縁側など外の自然や光とのゆるやかな付き合い方は、日本の風土に合ったものです。湿気の多い日本では畳や木部のメンテナンスは、昔は年間の行事に組み込まれていました。

しかし、高齢化の進む現代、年を取ると膝や足腰が弱り、畳の縁くらいの段差でも転びやすくなります。布団の上げ下げも苦労です。何しろ、膝を曲げることは苦痛です。介護状態になると、食べ物をこぼしたり、汚したり、不潔になりがちですから、介護する側もされる側もベッドの方が楽。高齢者が和室を望んでいても、洋間が勧められるわけです。

 一方、日本文化は茶道、華道に始まり、やはり和室という入れ物があってこそ、その良さを堪能できるものです。畳でなくて板の間であっても、建具、家具、絵画や書など、そこで芸術が生まれてきました。ですから、むしろ身体が丈夫な若い世代こそ、和室を活かした空間を積極的に活かした暮らしを取り込んでいただきたいものです。お雛様や五月人形を飾るのは、やはり和室。それに、赤ちゃんをちょっと寝かせる、子供たちを遊ばせる、両親など急な来客の一室としても機能します。

 畳屋さんの仕事が減っているとは言いますが、実は、和室はまだまだ根強い人気があるようです。中古マンションには和室が付いている場合も少なくありませんが、リフォームされるときも、琉球畳を入れたり、現代的な床の間スペースに変更したりして、おしゃれな和モダンスペースに生まれ変わっているケースも多いようです。

いつまでも和室生活を楽しむためにも、立つ、歩くという運動機能はキープしておきたいものです。あなたのロコモ度はいかがですか?