215-4 正木亮様・本島美和様にインタビュー 

2018年2月13日 at 9:30 AM

「タイミング・ハプニング、そして・・フィーリング」

 今回弊社で施工した「浅草バレエスタジオ」の正木亮様、本島美和様にさらにお話を伺いました。
―ご自宅部分の壁はとてもきれいな色使いで、正木先生がイタリアにいらしたときのお住まいの影響もあるそうですね。
正木:15年くらい前に、イタリアにいるリンゼイ・ケンプのところへ一緒に舞台をやってほしいと頼みに行ったんです。当時はビザも厳しく、僕は裏方をやりながらトディで一緒に舞台をやって、それからイタリア中をツァーで回りました。
―巨匠ローラン・プティ振付の作品もお持ちだということですね。
正木:とても気難しい方なんですが、プティ振付のオリジナル作品を持っているバレエダンサーは、日本にはあまりいないと思います。
―美和先生は、新国立劇場の研修所ができて、すぐにお入りになったのですね。
美和:2000年に牧阿佐美バレヱ団に入りましたが、以前から留学して海外で学びたい、という思いがあったんです。でも新国ができて、日本に居ながらにしてバレエについて学べると知って、研修所に入りました。2年後、新国のバレエ団にもオーディションで入ることができました。
―ソリスト2名のうち1人!その新国も20周年を迎えました。
美和:そうですね。今は毎年ですが、昔は隔年しか募集がなく、私たちの時は7人。1期生だったので、生徒も先生も当時は手探りでした。
―2011年には、プリンシパルに昇格されています。ご自身で好きなレパートリーなどあるのですか。
美和:ちょうど、デヴィッド・ビントレー監督のときでした。もちろん古典作品は好きですが、新作に取り組んでいるときも、エキサイティングで好きですね。古典はどの振付バージョンで行くということさえわかれば、すぐに踊れます。ですが新作ですと、曲も初めて、動きも初めてということで、身体が喜ぶというか、新しい発見があります。
―今回、正木先生と後進の指導に当たられることになったのですが、ご結婚のきっかけは?
美和:実は結婚する前から、正木家では家を建てる話が出ていて、付き合って間もないのに、間取りが変っちゃうから、「どうするの?」とどんどんスケジュールが進んでいって(笑)。でもそんなきっかけでもないと、お互いにいい年でしたから。「結婚って、3つのingが合って起こる」とよく言われるみたいですね。タイミング、ハプニング、そして…何だったかしら。(編集部注:フィーリングでした)
正木:僕は、自分自身、結婚不適合者だと思ってたな。
美和:私たちが結婚するなんて周りがびっくりしていました。4年前、彼が参加していた「清里フィールドバレエ」に、私も「白鳥の湖」でゲスト参加することになったのですが、最初組む予定だった方がケガをされて、正木さんに白羽の矢が立って…。清里萌木の村の夏の特設会場で、2週間だけ屋外で上演されるのですが、森の中で本当に白鳥たちが踊っているような幻想的なステージなんです。夜は天の川が見えたりして、自然ってほんとに舞台では得られない魅力があります。
正木:天候に左右されて、雨が降ったり、虫がたくさん来たり、中止になることもあり、毎年自然との闘いですけどね。
(―3つのingが起こったわけです)
美和:付き合い始めた時は、30代前半でまだずっと踊っていたいという思いがあり、「スタジオを作る」と言われても実感がわかなかったのですが、3年経った今、この年になってみると周りには明らかに年下のダンサーの方が多い。そして、私自身、若い子たちに「こうしたらもっと良くなるのに」という気持ちがわくことも多くなりました。こういう気持ちが後進を育てる最初のきっかけかな、と感じています。
ーバレエ人口は日本は多いそうですね。お教室もたくさんあります。
正木:たまたま浅草は少ないけど、都内は駅周辺に10から20件はありますね。1つの貸しスタジオを複数の教室が曜日を変えて借りていたりもします。使い勝手のいい大きなスタジオを作りたかったですね。
「なんで(天井が)高さ4mも必要なんですか。3mじゃだめですか」と山縣先生に言われて、随分やり合いましたね。
―クラシックバレエは、他のダンスと比べて少し敷居が高いところがいいし、やはり全ての踊りの基本みたいなところはありますね。
美和:フィギアスケートでも、今はバレエの動きをしっかり取り込んでいます。上半身の動きなどは、ほんとに昔とは違います。
正木:バレエはルネサンス期にルイ14世の庇護で発展した文化ですが、今は当時のようにバレエに湯水のごとくお金を使える国がなくなっています。20年くらい前から世界中が戦争に向かっていて、文化の質が落ちている気がします。予算を削られ、舞台数が減る、ダンサーが育たない、質が落ちるーバレエの衰退が始まっているんです。
美和:平和な時代でないと文化は発展しないと思います。これから出てくる若い子たちにいい未来を、そしてバレエ界全体がいい状態になることを願っています。
正木:このスタジオを踏み台に、世界に羽ばたいてほしいですね。
―本日は、ありがとうございました。