210-2  MIMOSA PUDICA

プレートラーメン構造で、抜け感を活かした共同住宅

 

 

 

 

敷地は京王井の頭線明大前駅より徒歩5分。東の幅員約11mの線路敷と西の4m生活道路に挟まれた、一種低層住居専用地域に属する敷地である。線路敷は前面道路より1m下がったレベルに位置する。
法により絶対高さは10mと制限され、条例により最低居室面積25㎡以上、居室天井高さ2.3m以上の制限を付与される地域である。
その中で収益物件として、いかに最大容量を確保するかを模索した。その結果、1階を半地下とすることで10mの高度制限の中に4層挿入することとした。
(ただし豪雨時の浸水リスク軽減のため、1階住戸の床レベルは線路敷よりも300高い位置に設定し、外構や貯留ピットの採用により冠水時のオーバーフロー機能を盛り込んだ。※ポンプ槽は設けない計画としている。)
周囲には学生向けのアパートが多く立ち並び、周辺マーケットの中で学生をターゲットとする賃貸住宅は飽和状態である。そのため、計画初期段階から明大前という地域性を排除し、ターゲット層を広げ、過当な競争に巻き込まれないセグメントへフォーカスすることとした。
【大切にしたコンセプトは2つ】
1)低層住居地域に対する環境への配慮 2)線路敷に面する立地メリットの最大化
・都心部では得難い線路敷11mによる抜けを全住戸に享受させる
・線路からの騒音対策(RC 二重サッシ)
・低層住居地域への配慮として視覚的ボリュームを小さくする。3棟分棟
・直階段をスリット階段とし4mの生活道路と線路敷をつなぐ。場所性の継承

4階建てではあるが、4階へは3.5層程度の階段であるため、計画としてはエレベーター無しとしている。また分棟の隙間に配された階段は屋根を設けず屋外階段としている。そうすることで階段部分の面積は床面積に算入されず、延べ面積は500㎡以下とすることができ、非常照明や自火報設備設置の要件を外し、かつ97%という高いレンタブル比実現に寄与している。また屋根を設けないことは結果として分棟のコンセプトを強調することにもつながっている。
住戸プランは幅2.4m 奥行き13m のボックスに、線路側に生活空間 生活道路側に寝室、中間に水回りを配する。構造計画は柱梁を設けないプレートラーメン構造を採用。
垂れ壁や袖壁の無い連続した壁天井は 2.4mの幅方向から意識をそらせ、長辺への方向性を強調させ、線路幅員をも内部景観に取り込むことを意図している。防犯上のデメリットとなる上層階は、迷路性を持たせないシンプルな形態とすることで、パブリックなエリア(道路)からの死角も可能な限り排除している。
収益性を最大限に確保しながら、低層住居地域においての集合住宅のあり方を示す。収益物件としての事業性と公器としての社会性について思考を巡らせながら設計を行った。

(堀部 直子)

構造:RC造
規模:地上4階
意匠設計: Horibe Associates architect’s office
構造設計:高橋俊也構造建築研究所
設備設計:グランドファシリティ
施工担当:瀧澤
撮影:平井広行

2017年9月11日 at 5:00 PM