212-3 自由が丘の家 T邸

用途: 竣工年月: 場所: 構造: 規模:

受け継いだ家を、確実に次の世代へ残したい

4月に建ち上がった「自由が丘の家」は、1階にテナント6戸を擁する2世帯住宅です。建設計画がスタートしたのが約1年半前。ところが建設途中に、ご主人が急逝され、奥様はご自身と次男様ご一家の住まいのために奮闘されることになりました。
いろいろな変更を乗り越えて4月15日に建物は完成。テナントの入居もほぼ終わり、次男様ご家族の引越しも落ち着いたところで、奥様にこれまでの家づくりのお話を聞かせていただきました。

 45年前、主人に嫁いだときに最初に住んだ家は、空襲を免れた古い木造住宅でした。広いお庭があり、麻布から越してきた私には、踏切の音がずいぶん大きく感じられたものです。子供が幼稚園に通っていた頃、姪を預かることになり、建増し工事を行いました。
その後、隣の家に住んでいた主人の両親が亡くなって、1階がテナント、2、3階が賃貸住宅の建物を建てることにしました。そちらには今、長男が住んでおります。
 まもなく、今度は我が家も新しい建物に建て替えました。建物は木造2階建て、外壁は赤いレンガにし、1階にテナントを入れて、2階に家族で暮らすことにしました。テナント業ではいろいろトラブルも経験しましたが、テナントの出入りがなかったので、大変助かりました。
 子供たちも独立して、転機となったのは、2011年3月11日の東日本大震災のとき。木造の家はグラグラと揺れて、観音開きの扉は全部開き、戸棚の食器がすべて床に落ちて割れ、主人と二人で家の片づけに何日もかかってしまいました。隣の長男の家も、他のお宅も何でもなかったので、さすがに主人も「ものにつぶされて死ぬのはいやだね」と建替えを考えてくれるようになりました。
耐震性のあるものに建替えて3階建てにし、テナントを入れる事業計画にするまで、主人と二人で下調べにずいぶん時間をかけました。
 そして、計画が始まって地鎮祭の後、主人が病に倒れてしまいました。関西にいた次男がちょうど東京に転勤になり、亡くなるまで一緒に看病できたことは本当に良かったのですが、思いもかけないことでした。
建物が無事完成し、嫁や孫たちも完成を待って引っ越してきてくれました。掃除する気力もないくらい疲れることも多いのですが、孫の顔を見ているとまだまだ頑張れます。そして、やっぱり「主人が生きていてくれたらな」と思うのです。
「自由が丘の家」建て主 T様談

構造:S造
規模:地上3階
施工担当:村田、能田
竣工:2017年4月
撮影:アック東京

2017年11月12日 at 1:20 AM