215-2 浅草バレエスタジオ

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

架構が生み出す素朴な空間

 

 バレエダンサーのご夫婦のための住宅と、バレエ教室用のスタジオの複合用途の建物である。敷地は西浅草にあり、周囲は3階建ての建物で囲まれていて、ほとんどが1階が仕事場や店舗、2,3階が住居というように、職と住が混在している地域である。
建築主は、最初の打ち合わせで開口一番、「とにかくバレエスタジオを、この敷地に入る最大の大きさにしてほしい」ということを言われた。この単純明快な条件を最優先に設計を進めた。
 前面道路側は、道路斜線により上部がセットバックするため、エレベ―ターや階段の縦動線は必然的に敷地の奥に配置されている。1階は、前面道路から奥の縦動線へのアプローチスペースが必要になるため、最大ボリュームが唯一確保できる2階レベルにバレエスタジオを配置した。
1階はバレエスタジオの事務室や更衣室、3階がご夫婦とお母さんの2世帯住宅という断面構成が必然的に決まった。
 次に、バレエスタジオの空間の有効面積を最大にするために、構造体をなるべく薄くすることを目指した。特に間口方向の寸法を最大限取ることと、バレエで男性が女性をリフトしても大丈夫な天井高さ4mを確保することが求められたため、柱と梁を扁平にして薄くしている。柱は350X900、梁は400X900を基本断面とし、2.4mスパンで門型のフレームを並べた架構となっている。
 1,2階のバレエスタジオは、コンクリートと木と塗装の白の色だけでストイックな雰囲気であるが、3階の住居部分だけは、かつてご主人が、イタリアに住んでいた頃のお住まいの色彩を使いたいという強い要望があり、積極的に大胆な色彩を使い1,2階とは対照的な雰囲気を持った空間となっている。天井面だけはすべての階でコンクリート打ち放しの扁平梁の架構が表れていて、共通の空間のリズムを生み出している。
バレエスタジオの空間をとにかく大きくするという単純な要望に対して、それを何の作為もなく、ストレートに追求した結果、そっけないかもしれないが、逆に根源的な強さを持った素朴な空間が生まれた。
その素朴さを強調するように、コンクリートは打ち放し用のコンパネでなく、普通ラワン合板を使い、ザラザラした木目のテクスチャーとした。
また、メーカーの違う2種類の合板を混ぜてランダムに使うことにより、コンクリートの色も、ランダムに混ざった表情を持たせた。2階のスタジオのボリュームを際立たせるために、2階にのみ黒色を入れた撥水材を塗布し、この巨大な空間がそのまま外部に現れている。
周辺の建物と明らかに異質なスケール感を持たせることによりバレエスタジオとしての存在感が生まれている。

(山縣洋)
構造:RC造
規模:地上3階
用途:バレエスタジオ+住宅
設計・監理:山縣洋/山縣洋建築設計事務所
構造設計:坂根構造デザイン
担当:田所
竣工:2017年12月
撮影:フォワードストローク
2018年2月13日 at 10:04 AM