216-2 尾山台みどり保育園

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

町に開かれた保育園 ~緑と回遊性のある立体園庭~

 

 2階建て、80人定員の認可保育園。敷地は東急大井町線尾山台駅近くの町中、交差点に面する。面積的に地上レベルに広い園庭を取ることが難しかったため、1階から屋上までを園庭として緑の斜面で連続させ、そこに滑り台も参画させて回遊性をもたせた。子どもがループを描いて走り回ることのできる立体的な園庭である。
1階から2階への斜面には果樹を中心に樹木を配した。子どもたちが果実を取り青虫を見つける自然の遊び場であると同時に、町に緑の景を提供している。園庭廻りの外壁はスサ入りの茶色い土壁仕上とし、汚れてもいいという風情にした。
内部は1階に0、1歳児室、2階に2歳児室、3-5歳児室、一時保育室を設けている。
保育室はオーク材を中心とした仕上とした。ホールや階段は木と土壁仕上とし、柔らかい雰囲気と外部との連続性を創出した。西・北側の隣地側は最小限の窓とすることで相互のプライバシーに配慮しているが、北側は現在は住居ではないため、暫くは電車の見える窓として子どもたちに楽しんでもらいたい。屋上は斜線制限までRC壁を立ち上げ、遮音性能を持たせつつ、保育室のハイサイドライトを設けている。部屋全体が光に包まれた温かみのある保育室を意図したものである。
保育施設は、音や交通安全などの理由で迷惑施設と目されることも多くなってきている。園側も様々な要望に真摯に、あるいは過剰に応えることを考える。外部に対しては、侵入に対する安全性やプライバシー保護も考えなければならない。必然的に建物は外に閉ざし、内に向かうものとなっていく。果たして、方向性はそれだけだろうか。
この敷地は、初めて訪れた時から「開く」ことがある程度許容される条件が整っていると思われた。住民説明会でもその感じは覆らず、見守られている雰囲気も感じられた。
まだ開園していないが、やがて緑が整い、子どもたちが園庭を走り回り、屋上から町を眺める日が訪れる。町は子どもにとっての風景であり、子どもは町にとっての1つの風景となる。町の人たちに温かい眼差しをもって見守ってもらえるとすれば、それは子どもたちにかけがえのない安心感をもたらすはずである。心身共に健やかなこどもがこの場所を巣立っていくことを願っている。
(石川恭温/石川恭温アトリエ)

構造:RC造  規模:地上2階
用途:保育園
設計・監理:石川恭温/石川恭温アトリエ
担当:村田、尾内
竣工:2018年2月
撮影:村田和聡/フォトスペース・パッション

 

2018年3月16日 at 11:47 AM