223-3 御殿山マンションリフォーム

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

223-2 ページでご紹介した「西荻市庭」の実施設計担当、横井創馬氏の設計により昨年施工させていただいたマンションリフォームも今回ご紹介します。
マンションリフォームに対する大胆な設計手法が、ユニークで現実的な解決を生み出してる実験的な住宅です。

庭園と住まうマンションリノベ

マンションの上階では、屋外を感じることも少なければ、戸建てのように窓の向こうに庭を持つこともできない。当たり前のことであるが、住宅が積層せざるを得ない都会ならではの問題ともいえるだろう。
そんなマンションの一室を、息子夫婦や孫、友人たちが集まる大らかな受け皿として改修することを依頼された。
部屋は北西向きの角部屋で、20mもの使われていなかった細長いバルコニーに囲われていた。そのバルコニー全てを庭園と見立て、軽量土やデッキを敷き詰め、季節ごとに色彩や葉ぶりを変える大小さまざまな植物を植えることにより、窓の向こうにまるで庭付き一戸建てに住んでいるかのような風景を作り出している。樹木が生い茂る庭は、外からの視線をさえぎりながらも、自動散水によって手軽に子供たちがブルーベリーやレモンを育てるられるような場所になっている。
庭を臨むための窓サッシは、複合フローリングの厚突木材で包み込むことにより、木製サッシから庭を楽しむような風景を作り出している。
当初は断熱性と対結露性能を向上させるためのアイデアであったが、家具のような木製の十字窓がリズミカルに連続したしつらえは、内と外の境界線を柔らかく近づけている。
部屋を緩やかに分節する壁は、屋内然とした乾式壁ではなく、屋外で使うようなコンクリートブロックの壁を使用しており、まるで庭園の一部が室内へと入り込んできたような様相を作り出している。
このような粗野な素材でも表面をスタッフや学生たちと何日もやすり掛けをしたことにより、表面は絹のような手触りになって、住まう人に寄り添うような素材へと変化している。
また、マンションというのは部屋同士の距離が近いものだが、壁に重たい素材を選ぶことで音がたやすく伝播せず、1t近い重量感がお互いの部屋の距離感を遠ざけている。
屋外の庭園はもちろんの事、室内のしつらえもいわゆるマンションの記号を丁寧に取り除いていった。そうしてできた空間は、まるで庭を臨む別荘のような空間となり、人の家にお邪魔するというより、みんなの家に訪れるというような空気感を持った住宅となった。
(横井創馬氏 談)
コンクリートブロックを磨いてここまでツルツルに肌触り良くなるとは思いませんでした。鉄骨下地のキッチンの天板にはベルギー産の特殊なモルタルを使用、部屋の雰囲気に合ったいいテクスチャーに仕上がりました。
   (施工担当 齋藤)
用途:共同住宅
構造:RC造
地上2階/地上5階
延床面積:59.765㎡
竣工:1984年(築34年)
リノベーション:2017年11月
施工担当:齋藤
撮影:横井創馬建築設計事務所

横井創馬

1983年 東京生まれ
2007年 日本大学理工学部建築学科卒業
2007-2008年 坂茂建築設計ヨーロッパ 勤務
2008-2010年 SANAA 勤務
2012年- SEKAI共同設立
2018年 横井創馬建築設計事務所設立

2018年10月10日 at 12:46 PM