223-2 西荻市庭 – Nishiogi Ichiba -  (YSディセンダンツビルⅡ)

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

オドリバの上の商店街

それぞれの街にはそれぞれの振る舞いがあり、西荻窪という街にもまた独特な街の振る舞いがあった。現地調査の際に歩き回った西荻の商店街には様々な発見があり、活気のある八百屋さん、老舗のレトロな喫茶店、奥まったアパートの2階の小さな食堂…、西荻窪の街は1階だけで構成されているのではなく、人の家に上がり込んでいくような感覚で、立体的な迷路のように構成されていることに気付かされた。
そのような街の振る舞いを取り入れ、外部階段から建物を登っていき、踊り場ごとにお店があるような建物を設計した。それにより階層によるテナントの価値の低下をふせぎながら、立体的な商店街が創り出されている。
建物は駅から続くメインの商店街通りと、八百屋のある路地の市場ような通りの2面に面している。建て主の希望により、この外部階段がお祭りやイベントの際にコーラス隊や楽器の演奏の舞台にもなるため、まさに商店街同様、祝祭の空間をも宿している。
八百屋側の通りは、建物の建設にあたり2.7mも敷地境界をセットバックしており、細い路地が大きく開かれる瞬間に立ち会うことになった。
敷地の南側の老舗の八百屋は朝から活気にあふれている。1階のレストランをセットバックした八百屋側に開くことで、レストランと八百屋に挟まれた「マルシェ」のような通りを作り出した。車が通れない私道であるため、木製建具を開け放しテーブルや椅子が通りにあふれ出すと、駅から来る人たちはそれぞれの店で買い物したり、食事をしたりと、この通り全体で街の人々を迎え入れる形が浮かんでくる。
店内からは野菜や果物の鮮やかな色彩を眺められ、八百屋を借景にするという面白い風景が生まれている。料理人が「新鮮な食材を向かいの八百屋さんから買ってくる。店が単体ではなく、街と手を取り合って食事を出している。」と話していた時に、設計者の想像を超えて、街は呼吸を始めているのだと感銘した。
「経済合理性ではなく、商店街や街の人々にとって喜ばれる建築を考えて欲しい」というのは、建て主である東島氏の設計当初の発言である。その心意気に大いに共感し、西荻窪という街に寄り添った建築を提案している。
(横井創馬氏 談)
所在地:杉並区西荻北3-21-5
構造:RC造 規模:地上4階 用途:店舗
設計・監理:TK²(ティ ケイ スクエア) (設計担当:横井創馬)
施工担当:佐々木・小林
竣工:2018年4月 撮影:アック東京
2018年10月10日 at 12:46 PM