230-2 k-house(桜樺苑)

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

異なる文化、時間がフュージョンした店舗併用住宅

ご自宅の建替えとオーナーが始められる「台湾式茶藝館」を併設するという計画である。3年前の春、最初に訪れた既存の建物は、昭和の懐かしい木造の豪邸であった。2階建て、南側にお庭があり、その木々の中でも「椿と柿はぜひ残してほしい」という皆様のご希望であった。
半年ほどスタディを重ね、秋にはボリュームが決まったが、南側の日が当たる暮らしの記憶をご家族の身体が憶えていると感じた。母上のアトリエ、オーナーの書斎、水周りとトイレなど「窓際においてほしい」というお部屋が多かったため、リビングは窓一面だけで大きく吹抜けを設けて、各部屋が居心地の良い窓際を持ちながらリビングにもつながる構成とした。ご家族がいつでも互いの気配を感じられる距離感がいい。2階リビングの木目斜め天井は、解体した旧邸のリビングの天井が斜めだったため、お庭の木とともに、旧邸の面影を引き継いで時間軸を継承している、
父上は戦後、来日されて日本の学校に通い、オーナーもまた生まれた時から日本で暮らしているが、学校はフランス系ミッションスクール、仕事で海外に行かれることも多かった。母上は台湾から嫁いでこられ、今でも台湾のご自宅と行き来されている。弟様はアメリカ在住で台湾と日本とを行き来している。インテリアには様々なマテリアル・多色使いをし、納まり(orディテール)をミニマルにすることでそれらを融合させた。
1階店舗は、商店街から一歩入った住宅街に接するため、主張するより通りかかった人を徐々に誘導するアプローチに。店に入ると大きな「ムーンゲート(月窓)」がお客様を迎える。これはお客様を歓迎する台湾の伝統的なスタイルで、格子は吉祥文様。オーナーと台湾へ視察に行った際に見つけた伝統文様を描き起こし、データにて発注した。店内はオーナーの華やかで上品な雰囲気を反映する新しい色合いを提案した。今後も「以茶會友」の言葉が示す通り、美味しいお茶が縁となるお客様の憩の場となることを願う。

 (保田佳美氏 談)

構造:RC造
規模:地上3階
用途:店舗・住宅
設計・監理:保田佳美/インクス
竣工:2018年12月
施工担当:谷田
撮影:アック東京

2019年5月10日 at 6:31 PM