148-1 原宿新天地

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

撮影:上田 宏

「人と人との出会いの場」を生み出す、白と黒のコントラスト」

敷地は、明治通りという幹線道路と、キャットストリートという遊歩道に挟まれた一区画の路地に面している。北側にはアウディフォーラムという巨大な建物が建ち、一方、南側の法42条二項道路を挟んだ向かいには2階建ての木造家屋が建つという環境が、車主体のメガスケールの道路と人間が主体のヒューマンスケールの道路に挟まれた、この敷地の特異性を物語っている。この独特な環境の特異性を建物の構成に反映したいと思い、相反する二つのものがそれぞれ自己主張しながら共存する、そんなコントラストのはっきりした建物をイメージした。
美術の世界の表現方法として「キアロスクーロ」という技法がある。「明暗」のコントラストを強調した構成の手法で、カラバッジョやレンブラント、ルーベンス等の絵画にその技法が用いられている。敷地を見て、始めにイメージしていた事を考えていた頃、この「キアロスクーロ」という技法を思い出し、この建築の構成方法としてこの手法を取り入れることを考えた。
「白と黒」、「荒い肌触り」と「滑らかな質感」、「大きな箱と小さな面」、「開放感と閉鎖性」、そうした二つの事柄が互いを刺激しつつ交差することを目論んだ。スケールの異なる二つの道から人々が流れ、交差し、出会い、集いの場所となる、そんな事を想像しながら設計した。
コントラストを明確に表現するため、できるだけディテールを消す事を考えた。そのために開口部は窓枠を消し、階段の形状もアイコンとして記号化し、建物を抽象化する事を心掛けた。外壁の色は、黒と白とし、白の壁には滑らかな表面(キクスイ機能性塗料:ビュースクリーン)、黒の壁には凹凸のある表面(同じくキクスイ機能性塗料:グラナダ)で質感にも対比をみせた。

 完成後、建て主はこの建物を「原宿新天地」と命名された。その名前はこの建物に込められた我々の思いとピッタリとシンクロするものだった。

(溝口 健二氏 談)

所在地:渋谷区
構造:RC造
規模:地上3階
用途:事務所・店舗
設計:溝口健二/溝口健二建築設計計画
竣工:2012年3月
施工担当:佐須
撮影:上田 宏

2013年4月11日 at 4:00 PM