139-3 桜ヶ丘 PJ  オフィスリノベーション

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

撮影:アック東京 ④⑤編集部

コンクリート打放しのオフィスビルの全面改装

築 8 年、駅に近い三角形の敷地に建つ、地下 1 階、地上 4 階のコンクリート打ち放しのビルのリノベーションである。ビルを購入されたオーナーと各階の状態を確認しながら、スペースの利用方法を詰めていった。まず必要だったのは外観のメンテナンスと配管など設備の更新で
ある。一方、家具や建具など、既存のもので、良いものは、なるべく活かして変更する部分を決めていった。
建物の内部でデザインを大きく変更したのは、4階のフリースペースと3階の事務所スペースである。特に 4 階は、三角形の天井で最も高い部分の高さが6m。外部との接触表面積が非常に大きく温熱環境の再考が必要と感じ、断熱工事を行なった。また、オーナーの隠れ家的なスペースとして、より居住性に配慮する必要があった。すぐ近くに以前、リフォームした物件があり、オーナーにお見せしたところ、足場板の床の雰囲気などを気に入っていただけたので、こちらでも採用した。既存の水回りにかなりの段差があったため、水回りの床レベルに合わせて、300mm、床のレベルを上げた。3 階は事務所スペースだが、三角形の建物の先端の打ち合わせスペースには、飾り棚を設置し、部屋の形に合わせて楕円形のテーブルも製作した。
新築と違い、リノベーションは工事をして初めてわかることが多々あり、設計通りに進める事が難しい。オーナーにもそれを工事前からご理解頂いていた。
工事の進捗も早く、オーナーの承認など 3 者の連絡や報告の迅速さが求められる。
お忙しい中をオーナーには何度も現場にお越し頂き、大きな模型を現場に持ち込み、意匠的な事や施工的な事をとことん検討した。こちらから提案した多くの事をご理解頂き、オーナーのご協力で大変、満足のゆく工事が行なえた。

          (若松均氏 談)

所在地:渋谷区
構造:RC 造
規模:地下 1 階、地上 4 階
改修設計・監理:若松均建築設計事務所
施工担当:瀧澤
引渡し:2011 年 9 月

<before>

 

before01外壁に汚れやクラックが出ており、地下への階段室で大雨の時に内
部に雨がしみていた

before02 屋根の一部に下地を組み珪カル板を張り、取り合いにシールを打ったダミーの梁は、落下の恐れもあり、意匠も考慮して撤去した

before03 4 階フリースペースは最高天井高6m 以上の大空間。ロフトへの階段はアーティスティックなデザインの輸入品。ガラスブロック裏の洗面所には簡単なシャワー設備があり、コンクリート打ち放しの内部は断熱がなく、床はモルタル仕上げだった

before04 4階の窓際に並ぶ家具。そのままはずし、新しい床の上におき、開口部の梁のレベルと合わせた

建物外部は屋上の防水やコンクリートの劣化部分の補修、金属屋根の再塗装を行っている。外壁もクラック処理などを行い、ワンランク上の撥水材を塗布した(写真 01)全階に共通して言えるのが、断熱がないという点である。内壁に発泡ウレタンを吹き付け、ボードを貼ったのでかなり過ごしやすくなっている。
モルタル仕上げだった 4 階の床は、30mm の足場板を貼り、レベルを 300mm あげたことで更に断熱機能を補完している。またシャワーだけだった浴室にバスタブを設置。キッチンやテーブルなども、こちらで新たに設計した。

 

<オーナーのお言葉>

映像関係の個人事務所として、ここ数年オフィスと稽古場を1 つにしたいと考えてきましたが、今回条件にぴったりの物件と出会うことが出来ました。工事が終わり、第一に感じたことは、「こんなにきれいになるとは思わなかった」ということです。自宅もコンクリート打ち放しの建物で、ほとんど築年数が変わらないのに、こちらの建物の傷み具合はかなりのものでした。外壁にはひびが見え、雨が降ると雨漏りが滲みるコンクリート。新しく建て替えれば好きなものが出来ることはわかっていますが、「そこにあるものは、使えるのなら使っていきたい」という性質です。完成して、かけられていたシートがはずされたときは、本当に感動しました。また、担当者の方に工事中の進捗状況を写真でその都度知らせていただいたり、細かい改良点も皆で相談して決めたりしたので本当に満足です。引越しはこれからですが、オフィスと稽古場、そしてプライベートの時間も皆と楽しく過ごすことが出来ればと、思っています。

2013年4月2日 at 12:00 PM