136-2 HUTCH

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

撮影:深谷聡一

明るい路地とコモンスペースで居住者間の交流を図る

JR 中央線、阿佐ヶ谷、高円寺両駅から青梅街道に向かって徒歩 10 分ほど、住宅街を南北に抜ける道路に面した共同住宅である。敷地は、隣接する 3 つの細長い土地をつなげたものである。
1種低層地域のため軒高 7m を超えると日影規制がかかってくるので、地上 2 階に抑えることにした。2 階建てで住戸割を行うと、11 マス 22 戸入れることが可能だが、接道部分の入口には、ゴミ置き場など設けなくてはならない。1 戸には満たないスペースだが、残りの部分のコンディションはよろしくない。そこで、近隣での TPO の物件などでも、最近はランドリーコーナーがコミュニティの場として評判がよく、以前、設計した西国分寺のコレクティブハウスでも、共有空間が入居者の交流の場として機能している例もあり、ランドリーとライブラリの入ったコモンスペースをおくことにした。共用部はあまり大きいと採算が合わないが、いわゆる長屋的な建て方なので 5%前後なら負担にはならない範囲だ。ガラス張りのスペースは、24時間居住者が利用でき、光る素材を用いたテーブルが、シンボリックに通りを行く人にもアピールしている。
コモンスペースのある東側入口の扉を開けると、2m幅の路地が西側奥の接道部分まで折り曲がりながら延びている。50mを超える路地に 21 戸の住戸がリンクしているが、路地と言っても、暗くじめじめしたものはいやだったので、フェズ(モロッコ)の「メディナ」やアルジェの「カスバ」のような旧市街の明るい路地をイメージし、建物も白い壁とした。「コモンスペース」と「路地」という共用空間で、居住者同士が多少でも触れ合う暮らし方を提案できればと思う。
各住戸内は、ここ何年か自分が試みてきた、立体的なスペースの活用を反映させている。普通ならデッドスペースになりそうなところにも、ロフトや床下収納を配してボリュームを隅から隅まで活用し、ストックするスペースと使用するスペースを区別しながら、視覚的な広がりを持たせている。
名前の「HUTCH」とは、高度成長期の頃、日本の住宅を見た外国人が、「ウサギ小屋(rabbit hutch)」と評したが、そんなコンパクトにしか取れない居住面積を、結構日本人なりの知恵で見せているぞという意味で命名した。どこか可愛らしい名前で、気に入っている。

(谷内田章夫氏 談)

所在地:杉並区
構造:RC造
規模:地上2階
用途:共同住宅 21戸(21.3~30.24㎡)
設計:谷内田章夫/ワークショップ
企画・募集:タカギプランニングオフィス(TPO)
構造設計:池田建築設計事務所
設備設計:ymo
竣工:2011 年3月
施工担当:佐藤、園田、田所

2013年3月30日 at 2:00 PM