120-4 メンテ魂~その後お住まいはいかがですか~27回 inner skin house

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

撮影:編集部

inner skin house

 

インターフェイスデザイナーの K 様、ジュエリーデザイナーの奥様の仕事場を兼ねた「インナースキンハウス」は、2枚のプロフィットガラスを合わせた美しいファサードが特徴的な建物です。鉄骨造に 100 mm 厚 の ALC を横向きに積み上げた外壁、ガラス繊維に PVC の平織りを組み合わせた特注の膜材など、オーナーと設計者のさまざまな試みを実現した、機能性あふれる実験住宅です。ジッパーでつないだ面ごとに巾着や丸窓、ストラップを設けて、シンプルな室内に豊かな表情の内膜が建物の名前の由来となっています(写真2点参照)。第一建築部部長窪田と伺いました。

 

―竣工時、オープンだった 1階は、仕切りを設けて和室と奥様の作業スペースを作られたんですね。

K 様:知人や親戚が泊まりに来ると仕切りがないので厳しかったのですが、和室が 1 つあると便利だと、近くの工務店に簡単に作ってもらいました。扉も付けて床下にもたっぷり収納を設けたので便利になりました。
―ほかはほとんど変わりないでしょうか。2階の内壁の膜もきれいですね。
K 様:巾着を使った部分だけは、本棚がほしくなって、自作のものを取り付けました。内膜はしわが出たりするので、何回か張り直しています。メーカーの太陽工業にとっても半分実験のようなものですね。

―キッチンもきれいにお使いですね。
窪田:業務用キッチンを住宅に採用する、さきがけでしたね。今はこういうキッチンの照明は標準装備ですが、これは特注でした。照明のトランスはどこに入っていますか。結構大きいんですよね。
K 様:照明はハロゲン電球 12V です。天井に入っています。嵌め込むのに断熱屋さんがだいぶ苦労されていました。

―暑さ、寒さはどうですか。
K 様:プロフィットガラスの抱き合わせは、今話題のペアガラスのような効果があり、室内は快適です。ALC も思いのほか断熱効果がありました。
窪田:ALC はよく工場などの外壁に使われ、対費用効果があり、階高の高いのも平気です。今、意匠の点ではアスロック(押し出し成型セメント板)を使う先生が多いですね。ただ厚さ 60mm と薄い場合、断熱材を吹き付けることになる。ALC100mm厚のこの建物は、軽量鉄骨を C 型チャンネルで組み立てているため効率的です。
K 様:ALC の 3X6 で 1800mm という壁サイズは、私のようにセルフビルドを好む場合、部材が平均サイズで済むので、便利ですね。
ほかに、竣工後 3 年間位、プロフィットガラスの 2 枚の間に梅雨どきになると水滴が見えていましたが、最近出なくなりました。

奥様:一番気になるのは、3 階の北側キャットウォークのドア周りの結露です。ペアガラスに替えるとか、上半分が網戸になるドアにするとかできませんか?
窪田:ペアガラスは既存のドアの溝に合わないんです。溝に合う真空ガラス「スペーシア」もありますが、高いですね。最近内側がプラスチックのサッシも出てきています。空気層が増えて断熱効果があるものも出ています。そういう方向で直していけますね。
基本的に鉄骨造は高くつきます。コンクリート打ち放しではそのままで許せても、鉄骨造では、隙間がある分、結局内装をきちんとしないといけませんから。
K 様のように建物の完成後、時間をかけてご自身が内装を作っていくという点で、この建物は新しい住まいの作り方の良い例だと思います。

―本日はどうもありがとうございました。

 

所在地:渋谷区
構造: 鉄骨造
規模:地上3階
用途:専用住宅
設計:内海智行/ミリグラムスタジオ
完成:2001 年 2 月
施工担当:森田、尾島

 

 

2013年3月15日 at 10:00 AM