109-2 田園調布  A 邸

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

自然に街になじむ建築

 

建て主の希望は、 「一見すると何と言うことはない、 以前からそこに建っていたかのように周囲になじんでいる建物」 というものだった。
田園調布という格式のある住宅街に、 自己主張するでもなく、 ごく自然に溶け込むには、 コンクリート打ち放しの閉じた要塞のような建物ではなく、 親しみのある素材で覆われ、 年月を経るにつれ味わいをかもし出す煉瓦という素材が最適だということになった。
建て主の希望の色、 形、 形状を実現するために、 今回、 TLCアソシエイツの木皿真司氏と出会い、 昔ながらの正統な煉瓦タイルの製造が危機に瀕していることを知った。 生産地常滑で残っている窯は本当に少ない。 また、 施工する高い技術を持つ職人も減っている。 本当に豊かなものづくりの現場がどんどん失われていることに、何かできるのではないかと感じた。
外構や庭は、 造園デザイナーとして有名な桂川眞氏によるデザインである。 通常よりも、 丈の高い木々が運び込まれ、 昔からそこにたたずんでいた趣を作り出している。 前面道路からの小道には厚さ6cm の石畳が敷かれ、 四季折々に花が咲く植栽、 煉瓦造りの水場などが建物を囲んでいる。 引き算の美学をモットーとする桂川氏のデザインが、 建物の佇まいにこの地にふさわしい品格を与えてくれている。
内部は、 煉瓦の床と無垢のフローリングの色味を生かし、 白い壁と木の組み合わせで落ち着いた雰囲気を出している。 最上階の 2階では、 間仕切壁の上部に欄間を設け、 隣合うスペースを視覚的に連続させた。

 

(鈴木基紀氏談)

構造:RC 造
規模:地下 1 階、地上 2 階
用途:専用住宅
設計:鈴木基紀/空間設計社
外構:庭園デザイン:桂川眞/桂川デザイン事務所
煉瓦タイル制作アドバイザー:木皿真司/ TLC アソシエイツ
施工担当:弘中
竣工:2009 年 3 月
撮影:アック東京

2013年3月4日 at 2:00 PM