96-2 スタジオエビス改修工事

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

設計事務所の適切な監理で引き継がれる建物の命

 

「コンクリート打ち放し」の外壁の維持に用いられる塗装材は、年を追って進化、手をかける時期を延ばそうという観点から性能が高くなっているといえる。しかしそれは、適切なサイクルで補修しないと、次に手直しをするときに、逆に手間がかかることでもある。
例えば、撥水材は今だとフッ素系材料があるけれども、前回の改修ではまだ普及していなかったので、「パーマシールド」という材料を採用した。それが 10 年後の今回検証したところ、もちがいい部分と、紫外線にあたって劣化が激しい部分とのバランスの問題が出てきた。
どう手をつけていくか、デリケートな問題になってくる。北側だけが劣化している度合いが少ないため、現状のコンクリートに適する水圧を十分に検討した上で、高圧洗浄しても剥離状況が違う。そうなると手のかけ方を面によって変えていかざるをえなくなる。今は皮膜をして、保護するという方向が全盛である。我々は、基本的にできるだけ手をつけない塗装方法をとっているが、今回はその剥離後の差のある状況の変化がうっすらとなじむ程度の白を混入(約 5%)し、面の状況により少し手を加えながら保護塗装を行っている(写真①)。
今回の改修で大きかったのは、電気と機械設備の改修である。この建物は安定して電気を送るためにキュービクルを 3 つ用意してある。
その3つを替えるということが一番コスト的にも大きかった。また空調のシステムを全部変更した。セントラルで機械室を設けていたシステムを、屋上に室外機を設置する場所をまとめ、ルートを工夫して個別に行うようにした(写真②)。写真のデジタル化が一般的になって、撮影条件に対する要望の変化もあり、屋上のスタジオを使うことが減ったため、その一部を設備スペースとして利用することが可能になったという点もある。
増改築においては第 5 スタジオの上方にへこみを設けるように(写真⑤)小さなミーティングルームを作り、その奥の機械室が不要になったスペースに、メイクアップコーナーを作った。またスタジオ前のエレベーターホールは黄色の塗装を施し、トイレのサインや、1 階の案内板のロゴのサインも一新した。当初の設計の意図を守りながらも、以前よりも明るい印象の空間となっている。

 (内木博喜氏談)

所在地:渋谷区
用途:スタジオ
構造:SRC造
規模:地下1階 地上9階
設計:鈴木恂+AMS
竣工:1981年
改修設計・監理:AMS/担当 内木博喜
改修年月:2008年1月 

 

2013年2月18日 at 2:00 PM