174-2 kotoriku(コトリク)

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

自然の山のような集合住宅

いつも、建築という人工物と自然が融合する、あるいは建築の中に自然が拮抗して入ってくるものを作りたいと考えている。
この建物は、緩やかな谷になっている住宅街の交差点に面して建つ。直交した四角い線の建物ではなく、不規則な街区を反映させた変形グリッドで構成した1フロア5戸のプランを、一番下から立ち上げて、その角を削っていくという作業を行った。そして、駅からまっすぐのびた道の突き当りに、丘のような形状の建物を作り出した。
いわゆるデザイナーズマンションはバルコニーがなく、サッシで閉じられた室内空間で乾燥機を使って洗濯物を干すものがほとんどである。それをもう少しナチュラルな、外の生活と中の生活が混じるようにバルコニーを作って、自然に連なっていく形状を考えてみた。同時に、そこに緑があることが重要である。賃貸住戸であるが、1階の1住戸と3階は建て主の自邸なので、植栽は建て主関係の住戸と共用部のバルコニーと屋上に集約し、継続的なメンテナンスを維持するように計画した。

外壁はコンクリート打ち放しだが、土のような色合いを持たせるため、コンクリートに茶色い顔料を混ぜて着色した。また一部の外壁には、鉄板に皴を施して型枠に貼り、コンクリートに金属の皴感を転写した。コンクリートそのものは何も形がないものだが、型枠によって、鉄のようなものになれば、木のようなものにもなり、様々な素材感がつながっている雰囲気を醸し出す。住戸内部は通常の滑らかな打ち放し型枠でなく、普通ベニヤにして、あえて木の表情が出るようにしている。コンクリートだが、木に囲まれているようなテクスチュアを生み出した。
室内は、洞窟の中、あるいは木の上のような部屋と変化に富んでおり、昼間、四角い公共空間で過ごさなくてはならない人たちが、楽しみに帰宅できるような空間となっている。

建物名の「コトリク」というのは、「小鳥が来るような場所を」と建て主が命名された。奥様が生前詠まれた句の中に出てくる言葉だという。

(平田晃久氏 談)

所在地:目黒区
構造:RC造
規模:地上3階 塔屋1階
用途:共同住宅
設計・監理:平田晃久/平田晃久建築設計事務所
プロデュース・管理:プリズミック
施工担当:内海
竣工:2014年3月
撮影:①-④ 坂下智広  ⑤-⑨平田晃久建築設計事務所

2014年9月16日 at 2:28 PM