187-2 目黒M邸

用途: 竣工年月: 場所: 設計: 構造: 規模:

家族への思いをつなぐ松の木

築約60年の木造2階建の住宅には、大きな松のある前庭があった。建替えにあたって建て主は、「家族を見守ってきたこの松だけは、ぜひ残したい」という希望をお持ちであった。そこで、奥様の好きな「ビュッフェ絵画」のようなモノトーンの色調や鋭い線を活かした、耐震性のあるコンクリート打ち放しの建物が、この松を囲むようなプランとし、各部屋の大小の開口部を通して、様々な表情の松を楽しんでいただけるようにした。
また、建て主は、親御様より受け継いだ土地に新たに建てる建物が、将来の2世代、3世代同居を視野に、玄関・キッチン・バスルームを大きく一つにし、次の世代にそのまま受け継がれていくような住宅を望まれた。息子さん世帯は別に住居もあるが、一緒に住む期間を想定し、プライベートな部分以外は、むしろ広くいろいろな場所が点在している、フレキシブルな空間で、一家団欒の機会をより有効に作り出すことを望まれた。元の住宅にはなかった地下や屋上の部分が、その余裕を生み出している。

 内装については、コンクリート打ち放しの雰囲気を活かし、玄関の壁には本実の打ち放し部分を設けたり、2階への階段は片持ちにしたり、と新しいものを楽しんでいただく一方、書斎の壁の一部には、以前の家の壁の板材を貼って照明を残したり、和室の床の間の長押は以前の家で使っていたものを採用している。古いもの、昔から大切にされているものを大事にしたいという建て主の思いが反映されている。
外構の土留にも大谷石の部分を残し、行きかう近隣の方からも「松や壁が以前のお宅の面影を感じさせる」と好感されているようである。

(田中朋久氏 談)

所在地:目黒区
構造:RC造
規模:地下1階、地上2階
用途:専用住宅
設計:田中朋久/田中朋久建築設計事務所
施工担当:鈴木
竣工:2015年8月

2015年10月12日 at 6:33 PM