209-2 吉祥寺の家(リノベーション) 

減築して生まれた吹き抜けで、個性的な空間を創出

建て主N様は、以前我々がつくった「井の頭の家」の再販募集で、2番目に手を挙げられた方である。リノベーション住宅のプロデュースを手掛ける「リビタ」とのコラボ企画だったが、公園が近い環境、デザインを気に入られたN様は、新たに家を購入、リビタを通して、僕らに改修設計を依頼くださった。
既存の建物は1階の採光が不十分だったので、第一にLDKを明るい2階に持ってくることにした。そして暗い1階に光を落とすため、2階和室の床を抜いて大きな吹き抜けを作り、すべての部屋の採光を満たした。仕上げ材にも工夫を凝らし、例えば、和室の床は手斧掛けとしたり、吹き抜けのホールと寝室のタイルは素材を変えてパターンを合わせたり、とリノベーションと言っても、チープなものを使わず、本物を使うことで豊かさを生み出している。
内装だけでなく、外部のバルコニーや玄関ポーチの柱などにも、以前のブロックやタイルの面影が感じられるような左官仕上げにしている。以前の雰囲気を残しながら新しいものを加えて新旧の共鳴を生む、それがリノベーションの醍醐味である。
「井の頭の家」では吹き抜けの階段は直線であったが、この家では、階段も単なる上下移動の機能ではなく、ゆったりと移動を楽しんでもらえる場所にした。浴室もミストサウナのためのベンチを設けている。寝室の裏側は、和室の方にまで伸びる広い収納スペースになっている。

戸建てのリノベーションは、耐震性、断熱性能などの向上を見込めるだけでなく、減築を行いながら豊かさをも生むような、さまざまな可能性に満ちた建物づくりが行えるのである。

  (納谷新氏 談)

2017年9月1日 at 2:51 PM