250-4 「千駄ヶ谷駅前公衆便所新築工事について」 報告:㈱辰会長 森村和男

今月号でご紹介した「千駄ヶ谷駅前公衆便所新築工事」で久しぶりに現場監督の一人として工事に臨んだ前社長森村和男会長から工事の感想を報告させていただきます。

2020年、予定されていた東京オリンピック・パラリンピックに向けた渋谷区発注の工事入札が2月7日に行われた。入札に先駆けた概算では、7月完成という工程に対し、こちらの予定は1カ月以上余分にかかる計算である。金額的にも厳しかった。更に6月からは競技場周辺の道路規制が予定されている。その時点で社内に適当な現場監督がいないという事もあり、受注に反対の意見も少なからずあった。
しかし私は、久しぶりにコンクリート造の大胆なデザインの建物の施工を前に、密かに可能な工程表、予算の想定をしており、否定的発言が出尽くした後、「うちの理念は『情熱・挑戦・進化』、誰もやらない仕事に挑戦しなければ存在価値はない」と若手を付ける条件で、自分が現場をやると宣言した。翌日入札が行われ、懸念事項が多いことで他2社は辞退し、当社が落札した。現場代理人はグループ長鯨津、係員は私と鍋島という3人体制。肩書の入っていない名刺を注文して本社を後に現場に赴いた。

工事開始後、いくつかの難関に遭遇する。
・更地が条件であったにも係らず、隣接する駐輪施設の廃止が未終了で契約から約1か月近く工程に大きな影響となる。
・敷地は大江戸線の国立競技場駅出入口から10cmという立地。第三者の安全を優先した仮囲い、遣り方が求められた。
・コロナ渦で監理者との打ち合わせはリモートが常態化。意思疎通が不足し衝突する場面も多々起きる。お互い「より良いものを作る」という「情熱」の塊から真剣勝負だった。
一方、新型コロナウイルスの感染は世界に拡大。3月30日には正式に東京オリンピック・パラリンピックが2021年夏に延期されることが決まった。役所から「延期なので工期が延びてもいいですよ」の暗示。それまで、何が何でも「やる」と言っていた現場の空気が一変した。躯体工事までの順調さとは打って変わり、益々仕様が決まらない。流れを食い止めるべく打ち合わせは更にヒートアップした。

・7月上旬、急に役所の責任者から、「オープンセレモニーを7月24日に行うことになりましたのでまとめて下さい」と連絡が。あと1か月は必要な工事を9日でやらねばならない。押し問答の末何とか目処がついた頃、今度は「コロナを考慮して1カ月延期してください」との通知。正直力が抜けていったが、現場に公表すれば必ず志気が下がると考え、予定は曲げなかった。

・いよいよ8月22日、竣工式典を迎える。名簿を前日に確認して愕然とする。当社社長のみ「㈱辰代表」との記載だけで名前もない。テープカットも挨拶も予定になく且つ末席であった。これには怒りをこえて失望した。施工会社は「棟梁」であり、本来は主役である。すぐに抗議するも大きな変更はなかった。挫折の中、契約上は「対等な立場で」となっていても、発注者は絶対で、設計者が上位であり、施工者は蔑まされている現実を知る。このような状況が続く限り建設業界の発展は先細り、魅力の無い産業となってしまう。建設業協会を巻き込んだ活動が必要であると痛感した。
今回、現場復帰の目的でもあった、本社の課題、現場の課題、ZENとしての課題など20点以上の改善点を発掘したが、最後に遭遇した「業界としての課題」が最大級であった。

248-4 「お客様・設計者様と新たな交流の『場』をつくる」ための プレミーティング開催

10月30日金曜日、弊社7階会議室において、「辰が施工会社としてお客様と設計者様ともっと情報交換を行える場があれば」という願いから、辰のカスタマー室室長、小関の発案で、若手設計者の方々4人にお越しいただき、忌憚のないご意見をいただくミーティングを開催させていただきました。
4人の方はいずれも弊社がこれまで施工させていただいた設計事務所の所員として勤務され、物件の担当者でもあった方々です。

小関カスタマー室室長は日々の業務の中、施工後一定期間を経た中で生じる様々な不具合の情報をもっと、これから新築を手掛ける設計者の方に伝えたいという率直な思いを伝えました。
経験豊富な再生建築部部長窪田も出席し、また建設資材を扱う会社の渡辺弘司氏には最近の住宅建築の動向をここ数ヶ月の実際の感触から述べてもらいました。

最近では、設計以外の役目も行う設計事務所もある中、コンサルティング会社との協働を進めることでプロジェクトがうまくいった例や、キャッシュフローやファイナンスについて学ぶことで設計の本来の善し悪しを改めて考えさせられたという意見も聞かれました。不動産会社や土地のオーナーの方々との交流も有用で、技術的な話題だけでなく、一般のお客様や学生さんともざっくばらんに話せる機会もつくりたいという声も聞かれました。

読者の皆様もこんな機会があるといいなと思うことがありましたら、どうぞご意見をお寄せください。

( 辰カスタマー室 小関まで。t-ozeki@esna.co.jp)

247-4 ㈱ZENホールディングス 新社長に 松瀬 賢亮 氏 就任

さる9月11日、㈱ZENホールディングス臨時株主総会にて、各務善胤㈱ユニホー東京支店支店長、松瀬賢亮㈱ユニホープロジェクト推進課課長が取締役に選出され、株主の承認を受けました。
引き続き、同日開かれた㈱ZENホールディングス取締役会にて、㈱ZENホールディングス代表取締役社長に松瀬賢亮氏が選出されました。

松瀬氏は38歳。名古屋大学で建築を学び、㈱ユニホーに入社。緑営業所所長在籍時に、母校名古屋大学が、新たな留学生宿舎建設に際しPPP/PFI手法による公募を開始したことを知り、落札に向けてグループ初の取り組みとなるこの事業を推進。留学生宿舎と福利厚生施設、パブリックスペースなどの設計・施工・管理、またそのための銀行からの融資なども含めて一括して委託するという事業を見事落札し、そのリーダーシップが注目されました。PPP/PFI手法は、海外でさまざまな分野の公共サービスで成果を収めており、日本でもここ数年で活発化。基本的に一括で民間企業に委ねることで、国や地方公共団体の事業コストの削減と、民間のノウハウで、より質の高い公共サービスを提供できる事業です。

松瀬新社長はさっそくグループ各社社長との面談を開始され、9月30日、弊社社長岩本との打ち合わせに、辰にも来社いただきました。

松瀬 賢亮(まつせ けんすけ)

1982年 長野県生まれ
2005年 名古屋大学社会環境工学科建築学コース卒業
㈱ユニホー入社 開発事業部
2009年 分譲事業部
2012年 緑営業所 所長
2017年 PPP/PFI推進室 室長
2019年 プロジェクト推進課 課長
2020 年 ㈱ZENホールディングス代表取締役に就任
趣味:ゴルフと読書、youtube鑑賞
妻と子(男3、女1)の6人家族

 

246-4 千駄ヶ谷駅前公衆便所改築工事 お披露目式 8月20日

千駄ヶ谷駅前公衆便所のお披露目式が、8月20日午前10時より行われました。
渋谷区では、昭和54年に建設され、洋式化も未整備であった同公衆便所を、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」開催時には多くの人が利用することが予想されるとして、秀逸なデザインとなるように整備することを目的として事業の公募を行いました。その結果、設計を谷尻誠氏・吉田愛氏主宰のSUPPOSE DESIGN OFFICEが、施工を辰が落札し、この度完成の運びとなりました。
当日は、長谷部健渋谷区長、千駄ヶ谷地区町会連合会会長山本昭様、設計の谷尻誠氏の挨拶の後、テープカットが行われ、式典終了後、施設見学も行われました。

長谷部区長は「延期となってしまった東京オリンピック・パラリンピックではありますが、ダイバーシティ渋谷を象徴する、まったく新しいデザインの建物となり、将棋の街、渋谷をアピールする、棋譜の掲示もうれしく思います」とコメント、建物の完成を讃えました。

SUPPOSE DESIGN OFFICEの共同代表、吉田愛氏は「大きなコンクリート打ち放しの壁が吊り下げられている開放的な空間は、セキュリティやダイバーシティに対して新たな解答を導き、また打ち放しの壁は硬化を遅らせる表面処理材リタメイトを採用し、打設後のコンクリートに洗い出し効果を得て、ハードな表情がスポーツ施設の多い周辺環境とも呼応しています」と施工面の特徴を語ってくださいました。建物の詳細については、また改めて次号以降に掲載します。

 

千駄ヶ谷駅前公衆便所改築工事
構造:RC造
規模:地上1階 用途:便所
設計・監理:谷尻誠・吉田愛/SUPPOSE DESIGN OFFICE
施工担当:鯨津・鍋島・森村
竣工:2020年8月