242-3 コラボレーションの極意 大塚彰宏/アーオ建築事務所+西本尚子/NISHIKEN architect design

2020年5月12日 at 10:46 AM

西本尚子氏(左)と大塚彰宏氏(右) 「1151ビル」2階会議室で

今月は、「1511ビル」の二人の設計者にお話を伺います。10歳以上年が離れた二人は建て主の希望で初コラボレーションとなりました。

―まず大塚さんから事務所のご紹介をしたいのですが、事務所名の「アーオ」とはどういう意味ですか。
大塚:アーオ(ao)とはもちろん私、大塚彰宏のイニシャルもありますが、ハワイ語をはじめとするポリネシア語系の言葉で「光」とか「大地」「雲」などを意味します。光が作り出す空間、大地(環境)にしっかり根差した、雲のようにふわっとした、自由な建物を作りたいという気持ちで「アーオ建築事務所」と名付けました。

―桝實様とはいつ頃からのお付き合いですか。
大塚:中高時代、鹿児島の学校に通っていて、寮に住んでいたのですが、桝實さんとはその時からの付き合いで、文字通り「同じ釜の飯を食った仲」です。
大学からは別々の進路を歩むことになり、桝實さんがNYに留学する一方で、私は東京で建築を勉強し、大学院を出てからスイスのイタリア語圏の建築の大学(Accademia di Architettura)に1年間通いました。
スイス留学に限らず、学生時代からヨーロッパ、特にイタリアには幾度か通いました。古い建物が街並みを形作り、それらに新しいデザインを施しながらうまく使いこなし、受け継ぐ文化。そういう空気がとても性に合いました。私の設計の拠り所とする価値観はこの経験によるところが大きいと思います。
帰国後は、石本建築事務所でイタリア・ナポリの大学キャンパス計画や、幼稚園、保育園などの設計を担当しました。その後、ブルースタジオという、リノベーションという言葉がまだ一般的ではなかった20年程前からリノベーションと銘打って古い建物の改修と活用に取組んできた会社に移り、様々なプロジェクトを担当しました。
ブルースタジオ出身ということもあり改修専門と思われることも少なくありませんが、僕の中では新築であれ改修であれ、様々な与条件を整理して最適解を見つける作業であるという意味で変わらないと考えています。実際今回のお仕事も、当初は他物件の改修も含めて検討しました。
とはいえ、独立してから初めての新築のお仕事を、誰もが知っている青山という場所で形にできたのは、大変光栄で嬉しいことですね。

―西本さんは、どういうきっかけで桝實様と出会われたのですか?
西本:私がアメリカ留学中に、ボストン大学の同窓会にやってこられた桝實様とお話する機会があって、帰国後お会いしていく中で、設計のお話をいただけたのです。 桝實様はアメリカの大学卒業後、帰国して改めて弁護士の資格を取られ、ご自身の弁護士事務所を立ち上げたというチャレンジ精神のある方なんです。私も実は帰国後、一級建築士の資格を取り、この仕事中に自分の建築設計事務所を立ち上げることができました。

―そうだったんですか。
西本:専門学校を出てから防音工事専門の会社に入り、その後、学生の時の恩師有田佳生先生の建築設計事務所に入りました。それからイタリ アに 3 か月留学し、現地の事務所でインターンをしました。古いものが残っている海外の文化の良さを感じながら、もっと長い期間行けるとしたらどの国がいいかなと考えてNY を選びました。 そしてイタリア帰国後、NY 留学の費用を貯めるために実家の株式会社西本建設で仕事をし、フリーランスになりました。
「Connecting The Dots」というシェアオフィス・コワーキングを手掛 ける会社の社長と知り合って、そこでインテリアのお仕事をさせていただくことができました。
勉強はあまりしてこなかったのですが、仕事は早い段階からしてきましたし、ヒトと関わるのが好きだったこともあり、新しい環境に一人で飛び込んで経験したフリーランスの仕事はとても貴重だったと思います。そして念願の NY へ留学しました。

ーずいぶんパワフルに動いてこられたのですね。
西本:帰国後は「早く新築も建てられるようになりたい」と設計事務所の門をたたくことも考えたのですが、フリーランスで仕事を始めた経験もありますし、先にお仕事をやらせていただいて、その間に自分の名前を事務所として書けるようにと一級建築士の資格を取ったのです。この工事の計画が少し遅れたことも幸いしましたね。

―一級建築士の試験はそんなに簡単に通らないのではないですか?
西本:帰国したとしばらく知人には言わないで、1 年間こっそり引きこもって勉強していました(笑)試験後、ライフステージでも変化があり、結婚。 桝實様と大塚さんにも式後のパーティーに出ていただきました。今、子供が 1 歳 8 か 月になったのですが、この現場が着工したときに保育園に入れたんです。 その前は近所の方に面倒見てもらいながら、打ち合わせに出ていました。現場にも赤ちゃんを連れていったりして、皆さん理解があって温かい方ばかりでした。
大塚:本当に元気印なんですよ(笑)おかげで楽しく仕事をすることができました。

―楽しいコラボレ―ションだったようですね。どうもありがとうございました。

 

大塚彰宏(おおつか あきひろ)1976年 大阪府生まれ
東京大学工学部建築学科卒業
同大学院新領域創成科学研究科・社会文化環境講座修了
Accademia di Architettura (スイス政府給費留学)
【職歴】(㈱石本建築事務所、㈱ブルースタジオ
2014年 アーオ建築事務所設立

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西本尚子(にしもと しょうこ)1987年 岡山県生まれ
日本工学院専門学校卒業
有田佳生建築設計事務所
㈱ 西本建設勤務
イタリアでインターンとアメリカ留学
帰国後、一級建築士取得
2018年 NISHIKEN architect design設立
https://www.nishi-ken-design.com/